黒板




※高校生パロでみんな同じ学校、サッカー部。





卒業式が終わって、すぐにテスト休みに入る。

俺達6人組はこの学校を卒業した。

そこであることを思いついた俺はケータイ片手にあるメールを打って送った。


『明日午前8時にみんなで学校に集合!お菓子と飲み物持参で!』


しばらくすると返って来たメールを見て嬉しくなって笑顔になる。

バッグの中に詰め込まれたジュースとお菓子。

眠れなかったらどうしようって考えるほど、明日が楽しみでしょうがなかった。



        *



「おはよう信助!!」

「おはよう天馬!!久しぶり!!」

「おはよう天馬。」

「おはよう葵、久しぶり!!」


葵と信助が校門の前で待っていた。

俺はちょっと寝坊したから走って来た。

「主催したくせに、遅いじゃねえか。」

後ろから聞こえる声。
振り向くとそこには校門の塀にもたれ掛かる剣城がいた。

「剣城!!!!」

「うおっ!!」

俺は久々に剣城に会えたから嬉しくて、抱き着いた。

拒んでいた剣城ももう慣れちゃったみたいで何もして来ない。


「ごめん遅れて!!」

「げ、みんな集まってるし!!」

「影山に狩屋!!久しぶり!!」


俺よりも少し遅かった影山と狩屋も一緒に来て、メンバー全員が集まった。


「これで全員だね。よし、じゃあ早速…!!」

俺は校門の柵をよじ登り学校の敷地に侵入した。

「ちょっと天馬、いいの!?」

「大丈夫だって!!何とかなるさ!!」


不安な表情を浮かべつつも全員校門を越えてある部屋の窓の前に来た。

「ここの部屋の窓の鍵が壊れてて、学校の中に入れるんだよねー。」


窓を開けて中に入る。
この部屋は空き教室で、廊下に出て階段を上る。


「あんまり大きな声出しちゃダメだよ。先生がいるかも知れないからさ。」

「わかってるよ。」

狩屋に言われた信助はほっぺを膨らませて怒った。

俺はある教室に入ってすぐに机を移動させた。


「何する気?」

葵がまた不安そうに聞いて来るから、ちょっと待ってと言って黙々と机を移動させる。


机を後ろに下げて、六つの机と椅子をくっつけた。


「机の上にお菓子とか置いたら椅子に座って!!」


俺はお菓子と飲み物を机の上に乗せて椅子に座った。

それに続いてみんなも机にいろんなお菓子や飲み物を置いて椅子に座った。


「ここって…。」

「うん。俺達が一年間ずっといた教室だよ。」


この教室は、俺達全員が奇跡的に同じクラスだった一年生の時の教室。

お菓子を開けながら一年生の記憶を取出す。


「懐かしいな…一年生の時。」

信助が天井を見上げる。
懐かしい記憶。
高校で一番楽しかった時期だった。


「受験が大変だったよね。天馬と信助も相当だったけど、狩屋が成績上がらなくてさ。」

「俺は頭悪いんだよ、悪いか!!」

そう。高校受験は大変だった。
俺は後半から巻き返してこの学校のレベルに到達したけど、狩屋が中々成績が上がらなくて苦労した。

でも狩屋は最後の辺りで何とか成績が上がり始めて、前期で入ることが出来た。


「クラス発表の時は奇跡が起きたと思っちゃったよ、みんな同じクラスなんだもん。」

「そうそう!!しかも、影山の後ろに狩屋が来てさ!!そこだけカラフルだったよね!!」

信助と影山が笑って話す。

俺達は全員同じクラスで、昼休みのランチも体育館に移動する時も部活に行く時もずっと一緒だった。


「でも二年生になったら文型と理型に分かれちゃったから、ちょっとごたごたしたよねー。僕とか結構天馬に怒ったりして!!天馬ゴメンね!!」

「ん、全然気にしてないから大丈夫!!」

「思えばあそこから、私達はばらばらになっちゃったのかな。」

「進路で結構ピリピリし始めて、大変だったよな。」


二年生になると、葵と剣城が理型に進み、そのほかは文型になった。

そして、大学のことを考えるようになって、ピリピリし始めた。

影山はいきなり就職することになったし、信助は大学に行くために部活よりも勉強を優先して、俺達は次第にばらばらになり始めた。

それから、何ヶ月も空白があった。
俺達はクラスも部活でもバラバラになって、次第に心が離れてしまった。


「…きっかけは、IH出場だったな。」

「たしかに。全員がまた、1年生の時みたいに仲良くなれたきっかけでしたね!!」


きっかけは3年生のIH。
全国の学校相手に本気でサッカーを通して戦い、通じ合うことができた。

勉強に集中していた信助も、受験が近かった影山も、全員が全員目標を一つにして。


「優勝しちゃったもんね、キャプテン?」

「ちゃ、茶化さないでよ狩屋!!」


ニヤニヤと俺を見る狩屋。
ふと周りを見ると、葵も信助も影山も狩屋もそして剣城も。


俺を見て微笑んでいた。

「思えば、私達の中心はいつも天馬だったよね。」

そっかなぁ?と首を傾げる俺に、みんなは笑いかけた。



        *



「ほら、早く早く!!!」

「と、届かない…。」

お菓子とジュースの空を放置して、騒ぎながらあることをしていた。

「これでいいかな?」

「大丈夫でしょ!!よし、じゃあセットするからみんな集まって!!」


葵が持って来たデジタルカメラを机の上に置いて、セットする。

葵は走って身だしなみを整えて、カメラに移るように既にスタンバイしてた俺達の中に入った。

「はい、ポーズ!!」

フラッシュを出してカメラは綺麗に撮れた。



背景の黒板には、『大好き』とか『サッカー最高』とか思い思いの言葉がびっしりと書かれ、真ん中には大きく6人分の『ありがとう』の文字。

消すのがもったいなくて、しばらくみんなで黒板を見つめていた。



ぐだぐだ様に提出しました。







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