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目が覚めて、何だか自分の体に違和感があった。
それに加えて、少しだけ胸のざわつきがあった。
何だろうコレ…。
今は何時だろうとケータイを開くと、04:37とディスプレイに明るく表示されている。
「4時半って…。なんか変な時間に起きちゃったな…。」
二度寝すればいいものの、なんとなく寝ちゃいけない気がして、布団代わりの固い椅子から起き上がり、ふと目についたのは、昨日皆で遊んだサッカーボール。
それを見て、私はすぐさま制服をバッグに詰め込み、ピンクのジャージに着替えて外に出た。
リュックのようにバッグを背負い、右手には先程目についたサッカーボール。
別に何か考えることがあるわけではないけど、身体が勝手に動いてくれている気がした。
向かった先は河川敷。
バッグをベンチに置いて、サッカーボールを地面に置く。
日の光が少しだけ空を明るくしてて、だけどまだ暗いこのグラウンドは、ちょっぴり不気味だった。
大きく息を吐く。
そして、軽くボールを足で上に上げようとした。
「…えっ、あれ!?」
上げたボールは真上に綺麗に上がり、そのまま私の足に戻った。
びっくりして、思わず足を止める。
だって、まともにボールを蹴れなかった人が、昨日の今日でできてしまっただなんて!!
おそるおそる、リフティングを試みる。
「ほっ、おっ、お、おおおお!!」
できてる、私リフティングできてるよおおおお!?
「何コレえええええ!!!」
最後は首にボールを乗せて、転がして右手に戻す。
…こんなにサッカーが楽しいなんて!!
「楽しいいい!!!何コレ楽しいいい!!!きゃふううううう!!!」
薄暗い河川敷のグラウンドで、子どものように1人はしゃいでた。
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