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翌日、私は何事もなかったかのように学校へ行き、部活でマネージャーの仕事をする。
葵ちゃんと昨日の話をしていると、いつもと変わらず明るくてサッカー馬鹿な天馬がごめん!!と謝って来たから、別にいいのにと思いながらも優しく頭にチョップしてやった。
「天馬だから許す!!」
「許すんだったらチョップしないでよ!!」
「それとこれとは別!!さ、練習してこーい!!」
アハハと笑い、天馬は練習しに行った。
…にしても。
昨日からずっと気になることがあったんだけど…。
暑いし寝心地悪いキャラバンで生活しているせいか、忘れてしまったよ…。
「…何だっけ。」
「何が?」
「…ってうおおっ!?」
び、ビビったー!!
いきなり隣で言われたからめっちゃビックリしたんですけどおおお!!!
「かか、狩屋いたの!?」
「最初っからいたわ!!!」
「ご、ごめん…。」
「別にいいけどさ。それよりもどうしたの?」
得意の猫被りで聞く狩屋。
私狩屋は普通何だよなー。
蘭丸ちゃんイジメてた時は嫌いだったし、マシになったのはホーリーロードの前でデレた時だったから、未だに狩屋は苦手かな…。
ってそんなのどうでもいいから。
「昨日から何かあったんだけど、思い出せないんだよ。」
「ふーん。どういう感じのこと?」
「んー…。昨日帰り際に考えてたんだよ。それで今日聞こうって思ってたんだけど……あー!!思い出せない!!!」
「それって空野さん絡み?」
「………………………………あああああ!!!!!そうだった!!!!思い出した!!!ありがとう狩屋!!」
思い出したあああああ!!!!
スッキリした!!
そうだ葵ちゃんだよ葵ちゃん!!
私が気になってたのは…!!!
「葵ちゃんの好きなひ…」
「シーッ!!!!ちょっと空野さんに聞こえるっての!!!」
「…え、もしかして私の考えてたこと知ってたの?」
「っていうか空野さんが俺に言ったから。」
「あ、そうなのね…。」
狩屋は意外と葵ちゃんと仲良いんですね、前まで顔真っ赤だったのに。
「何なら教えてあげよっか?空野さんの好きな人。」
「お、教えてください…!!」
狩屋はニヤリと笑い、耳打ちをする。
「空野さんは…」
「え…?」
耳元で囁かれたのは、葵ちゃんの好きな人。
…ではなく。
ってかまあ聞いたっちゃ聞いたけども。
「みんなには内緒な。」
顔真っ赤にしてその場を去る狩屋。
そりゃあそうだよ。
だって耳打ちで聞かされたのは
『俺が好きらしいけど、俺は霧野先輩が好きなんだよ。』
「そ、そんなの公式でありなのかよ…!!!」
もはや萌がどうのこうのではない。
頭の中はスッキリするどころか、なおさらモヤモヤした。
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一方の方では、問題が生じたようでなかなか行動できないでいた。
中学生くらいの女の子が一人、数人の大人に囲まれて話していた。
「そろそろあちらの時代に行けるか。」
リーダーらしき人物の男性が口を開く。
「それが、何かに拒まれてできません。」
女の子も丁寧な口調で答える。
「一刻も早く原因を解明して、修正しろ。」
「YES、マスター。」
にこやかに笑い、女の子はその場から消えた。
「…一体何があったのか。何か拒む存在があるのだろうか。」
男性は考えたが、問題を解決することはなかった。
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