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葵ちゃんは私なんかとは違って普通の女の子。
だから洋服店に入ってはしゃぐのはあたりまえだ。
しかもその店には結構今流行りの服がたくさんあり、私の普段着ている服とは全然違う系統だ。
葵ちゃんこういうの好きそうだもんなー。
「ねぇ名前ちゃん、これなんてどうかな?」
「葵ちゃん似合ってるよ!!」
「うふふ、ありがとう。でもこれ、ちょっと高いから買えないな…。」
「そうだね…。」
葵ちゃんはかわいいから何でも似合ってるよ、うん。
なんて思ってたら葵ちゃんは可愛らしいドット柄の黒のフリルが付いたシャツと白のえーと…何だっけ、フ、フリンジ?まあいいや!!とりあえずスカートを持って来た。
「名前ちゃんはコレが似合うと思うよ!!」
「…え、えええ!?わ、私!?」
「何もそんな驚くことないじゃないの。名前ちゃんはスタイルいいからモデルさんみたいに似合うと思うな。」
「えー何それ!?」
っていうかスカートだと!?
普段はハーフパンツとかジーンズとかズボン履いてるからスカートは制服以外履かないんですけど!!
しかも私足太いし汚いから見せられないよ!?
スカートとかほんと無理だよ!?
「とりあえずほら、試着してみて!!」
「うー…。」
葵ちゃんはほら、と手を引っ張って試着ルームに入れる。
しょうがない…こうなったら嫌でも着てやるよ…!!
スカートなんてもう絶対履かないけどな。
*
「わー!!やっぱり似合ってる!!」
「そ…そうなの?」
さっき私が名前ちゃんにあげた服を試着させたら、案の定似合っていた。
元々痩せてるし足もスラッとしていて、ほんとにモデル並の名前ちゃんは綺麗だし可愛い。
きっと本人謙遜してるんだろうけど、本当に綺麗!!
私、割と好みとかセンスとか人の外見とかハッキリしてる方なんだけど、名前ちゃんはお世辞抜きでモデルさんみたいなの!!
思わずうっとりと見とれて、もっと着せてあげたいとどんどん服を試着させた。
着せ替え人形の感覚でコーディネートしては着せ、の繰り返し。
「葵ちゃん…そ、そろそろいい?疲れるんだけど…。」
「…あっ!!!ご、ごめんね!!ついつい楽しくて!!」
いけない、夢中になりすぎて名前ちゃん本人の意思を忘れてた!!
慌てて試着させた服を片付けて、一番似合っていて且つ安い服を買ってあげた。
「はい、これ名前ちゃんにあげるね。」
「え!?い、いいよ!!私なんかよりも葵ちゃんの方が似合うし!!」
もう、名前ちゃんも強情っ張りなんだから!!
ずいっと買った洋服を押し付けて、半ば強制的にあげた。
「今度また遊びに行く時にこれ着て来てね!!」
「…うん!!」
名前ちゃんはスッゴく嬉しそうにニッコリ微笑んで、もらった洋服を抱きしめていた。
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