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「…おい。」
「なあに?剣城。」
「何ニヤニヤしてんだ。」
「だって剣城に抱き着けるなんて思わなかったし、剣城いい匂いするし、大好きだわほんと!!」
「…勝手に言ってろ。」
わああああ生の剣城だ剣城いいいいい!!!
テストも部活も終わって、私は至福の一時(剣城に抱き着いてるだけ)をたっぷりと堪能している。
まさか剣城に抱き着けるなんて、ほんと、これ夢じゃないかと疑ってしまう。
しかも剣城はツンデレだから抱き着かれても嫌とは言ってくれないからますます嬉しい。
生まれて来てよかったあああああっ!!!
「…何やってんの名前。」
「あ、天馬!!」
天馬はかなり機嫌が悪そうに私を睨む。
いや、睨まれても困るんだが。
「ねぇ剣城、そういえば今日のテストはどうだったの?」
天馬の視線が痛かったので抱き着くのをやめて、ちょっと距離を置く。
剣城は目を閉じて答える。
「別に。どうってことねぇよ。」
「えっ!?」
「なんでお前が驚くんだよ。」
「だって難しかったし…。」
ああ、天馬サッカー馬鹿だもんな。
やれやれと私は呆れてバッグを持つ。
「じゃ、もし天馬が50点以下なら、一緒に勉強会といきますか!!」
「50点以下!?き、厳しいな…。」
「どんな点数取ったんだよお前…。」
私はまだ帰っていない人を見て、勉強会という名の補習をすることにした。
「それじゃ、今回のテストで50点以下の人学年問わず全員で勉強会だ!!!!」
「…そ、それって、俺達もですか!?」
たまたま残っていた2年生トリオや錦先輩、車田先輩など、いかにも点取れてなさそうな人は反応した。
「いやあ、テストの結果が楽しみだなぁ…ふふふ。」
まるで悪魔の笑みを浮かべて、勉強会という名の補習がものすごく楽しみだった。
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