long | ナノ

2





頬をスリスリとすり合わせ、よだれが危うく垂れそうになるその哀れな姿は、まるでご主人の帰りを待っていた飼い犬のようだった。

やっと会えた、やっと。

私の大好きな彼が、目の前に。


「お、おい!!なんだよお前!!!」

「…あっ、え、えっと…ゴメン!!」

冷静になってすぐに剣城から離れる。

あああ、私今絶対ニヤニヤしてるよ、反省してないじゃんかもう!!!


「大丈夫剣城!?」

天馬が剣城に駆け寄って心配をするが、剣城はああと言って立ち上がる。

「な、なんだ今の…。」

「しかも剣城のことちゅるぎって…?」

「の、NOコメントでお願いします!!」


にしてもヤバいな…。

あまりにも実物剣城に興奮しちゃったよ、絶対ドン引きされた…最悪だ。

これを自業自得っていうのか…身に染みました。

まあそれはそうととりあえず、剣城に謝らなきゃ!!

「剣城、この人は新しいマネージャーの名前だよ。」

「名字名前です。あ、あの、さっきはごめんなさいっ!!!」


土下座しようとしたけど、さすがにそこでドン引きされたら元も子もないから、頭を下げて謝った。

ちらっと見てみると、剣城は小声で別に…と言ってそっぽ向いた。

ほんと申し訳ない…。


「…もしかして名前ちゃんって剣城くんのこと好きだったりして、なーんて。」


後ろから聞こえる憎たらしい声。

絶対狩屋だ、あのヤロー…!!

「違うよ!!剣城は好きだけどそういう好きじゃなっ…!!!!」

あ、ば、馬鹿あああああっ!!!!

私馬鹿だ!!ほんと馬鹿!!!
狩屋もニヤニヤしてこっち見てるし、当の本人は気にしていない。

「へえー、じゃあ名前ちゃんは剣城くんをどういう風に思ってるの?」

「狩屋、いい加減にしろ!!名前も困ってるだろ!!」

ポカッと霧野先輩が狩屋を叩く。
狩屋は霧野先輩を睨みつけて威嚇。

あーこれは痴話喧嘩始まりますな。


「…ぷっ。」

「あー!!今笑ったな!!」


狩屋が私に指指して言った。

「だって、狩屋と蘭丸ちゃんの喧嘩が親子みたいで。」












…あれ?もしかして私、今『蘭丸ちゃん』って言った?






prev / next


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -