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頬をスリスリとすり合わせ、よだれが危うく垂れそうになるその哀れな姿は、まるでご主人の帰りを待っていた飼い犬のようだった。
やっと会えた、やっと。
私の大好きな彼が、目の前に。
「お、おい!!なんだよお前!!!」
「…あっ、え、えっと…ゴメン!!」
冷静になってすぐに剣城から離れる。
あああ、私今絶対ニヤニヤしてるよ、反省してないじゃんかもう!!!
「大丈夫剣城!?」
天馬が剣城に駆け寄って心配をするが、剣城はああと言って立ち上がる。
「な、なんだ今の…。」
「しかも剣城のことちゅるぎって…?」
「の、NOコメントでお願いします!!」
にしてもヤバいな…。
あまりにも実物剣城に興奮しちゃったよ、絶対ドン引きされた…最悪だ。
これを自業自得っていうのか…身に染みました。
まあそれはそうととりあえず、剣城に謝らなきゃ!!
「剣城、この人は新しいマネージャーの名前だよ。」
「名字名前です。あ、あの、さっきはごめんなさいっ!!!」
土下座しようとしたけど、さすがにそこでドン引きされたら元も子もないから、頭を下げて謝った。
ちらっと見てみると、剣城は小声で別に…と言ってそっぽ向いた。
ほんと申し訳ない…。
「…もしかして名前ちゃんって剣城くんのこと好きだったりして、なーんて。」
後ろから聞こえる憎たらしい声。
絶対狩屋だ、あのヤロー…!!
「違うよ!!剣城は好きだけどそういう好きじゃなっ…!!!!」
あ、ば、馬鹿あああああっ!!!!
私馬鹿だ!!ほんと馬鹿!!!
狩屋もニヤニヤしてこっち見てるし、当の本人は気にしていない。
「へえー、じゃあ名前ちゃんは剣城くんをどういう風に思ってるの?」
「狩屋、いい加減にしろ!!名前も困ってるだろ!!」
ポカッと霧野先輩が狩屋を叩く。
狩屋は霧野先輩を睨みつけて威嚇。
あーこれは痴話喧嘩始まりますな。
「…ぷっ。」
「あー!!今笑ったな!!」
狩屋が私に指指して言った。
「だって、狩屋と蘭丸ちゃんの喧嘩が親子みたいで。」
…あれ?もしかして私、今『蘭丸ちゃん』って言った?
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