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06

 頭上に靄が発生した時、まさか、と相澤は息を呑んだ。
 その嫌な予感は的中し、渦巻くその靄の中から黒い塊が落ちてくる。
 くるりと一回転してから相澤の傍らへと優雅に着地したその人物は、マントの裾を靡かせてゆっくりと立ち上がった。
 目深に被ったフードの下から、底冷えするような光を放つ黒の瞳が臆することなく真っ直ぐに敵を見据える。

「これはまた、懐かしい光景ですね」

 玲瓏な声が、彼女の纏う空気が、やけに静かだった。
 いつも愛想笑いを浮かべる顔は無表情のまま硬く、柳眉を吊り上げ、美しい瞳が荒波のように殺気立っている。
 その瞳の奥に秘めているのは、間違いなく『怒り』だ。
 初めて佐鳥の人間らしい感情を目の当たりにして、相澤は瞠目した。
 犯罪に加担した有象無象の輩は、彼女の心情など知る由もない。にやにやと下卑た笑いを浮かべて、舐め回すように彼女の体を吟味し、口笛を吹いていた。
「こんなカワイ子ちゃんまでヒーロー目指してんのか」
「最近のガキって体の成長早ぇーのな。イイ体してんじゃん」
「よお、俺と遊ぼうぜお嬢ちゃん。『お人形』みたいに可愛がってやるよ? ベッドの中でな」
 ──低俗な。
 相澤は盛大に舌打ちした。
 どう考えても、いい歳した大人が子どもに聞かせる言葉ではなかった。蛮行だけでなく、知能まで地の底に落ちているらしい。相手が子どもで、自分達がまだ数で勝っているという現状がさらに余裕を生んでいるのだろう。
 しかし、その男達の余裕は突如響いた骨を砕く音と、仲間の一人が吹っ飛んだことで払拭された。
 空を舞ったのは、佐鳥に卑しい言葉を投げた男だ。
 誰もが無防備に空高く飛んだその男を視線で追い、目を見開く。
 どしゃりと地面に落ちた男の顔は大きく腫れ上がり、言うまでもなく気絶していた。
 一瞬で敵との間合いを詰めた佐鳥は、足を上げたままの姿勢で止まっていた。
「……誰が」
 それは、嵐の前の静けさだ。
 凍りつく空気を凪いだ声が制し、敵対する者を戦慄させる。
 動いた衝撃によってマントのフードがゆっくりと後ろへとずれていき、暗がりから冷徹な眼差しと上っ面だけの微笑が姿を現す。

「誰が『人形らしく』、私の相手をしてくださると?」

 ──いや、それ多分、サンドバックの間違いだろ。
 ようやく彼女の殺気に気づいた男達が尻込みするのを見て、呆気にとられていた相澤はポツリと心の中で呟いた。
 何が引き金になったのか分からないが、怒りが最高潮に達したらしい。今理解したが、大人しい見た目に反してわりと過激な性格のようだ。
 先制攻撃で圧倒的な力を見せつけた佐鳥は、続けてポーチの中から短い棒状の何かを取り出すとスイッチを押した。びゅん、と勢いよく伸びて長さを変えたそれは六尺棒と呼ばれる細い棍棒だった。
 どうやら彼女のサポートアイテムらしい。手慣れた様子で、器用にくるくると回転させてから構え直す。
 ゆるく編み込んだ髪を纏めるワインレッドのリボンがふわりと揺れ、愛らしい表情は一変し、獣が牙をむく。


「少々、おいたが過ぎるようで」

 その煽り文句が、戦闘開始の合図となった。


 ──クラスメイトの名簿を手渡された時の話だ。
「今年だけ推薦合格者を一人多く入学させた?」
 例年、雄英高校ヒーロー科の合格者は四〇名である。その中で推薦で入れる人数は僅か四名だ。それを今年だけ、特例で枠を一つ増やすことになったらしい。
 机の上に置かれた生徒の推薦書を手に取りながら、「そうなんだ」と楽しそうな声で大きく相槌を打った鼠──雄英高校の最高責任者である校長の根津に、相澤は眉を潜めて怪訝な表情を浮かべた。
「名前は佐鳥空。入試の成績は合格者の彼らと変わらないし、推薦してくれた学校側からもとても良い評価をもらっている子だよ」
「それはともかく……突然枠を増やして受け入れるなんて、あとで色々面倒なことになりませんか」
「そこは僕がなんとかするさ! なんたって、将来有望な生徒のためだからね。……それで、この子は君のクラスに入ってもらおうかと思っているんだけど──」
「待ってください、校長先生。その前に説明をください。どうして推薦者の中から彼女が選ばれたんですか? 何か理由があるようにしか思えませんが……」
 何故そこまでその生徒に肩入れするのか、理由が全く分からない。詳細を説明してもらえないことには相澤も「はい、そうですか」と頷くことができなかった。現状では、その生徒に何か『秘密』があって自分が面倒事を押し付けられただけにしか思えないのだ。
 校長の話を遮って説明を求めると、根津はきょとんとした顔をしてからにっこりと笑みを作った。
「『市民を守るのがヒーローなら、そのヒーローは誰が守るのか』」
「? ……なんですか?」
「面接で彼女が言った言葉さ。『ヒーローは決して安全な仕事じゃない。怪我だってするし、死ぬこともある。なら、自分は表立って活躍するヒーローではなく、そうして命を懸けるヒーローの負担を減らし、市民への被害を最小限に減らす活動をしたい』……ってね。それを聞いて、改めて実技試験の経過も確認してみた。これは、その結果だよ」
 なるほど。つまる話、この佐鳥という女子はヒーローを支える『相棒(サイドキック)』になりたいというのか。実におかしな話だ。ヒーローとは『守られる者』ではなく、『守る者』。故に『相棒』であることより独立を目指す者の方が圧倒的に多いというのに、その娘は『ヒーローを守る』という。
 珍しい話だ。どうして彼女がそんな夢を持つようになったのか興味深いところもある。
 相澤は無言のまま再び推薦書へと視線を落とした。
 願書に貼られた顔写真には、黒い髪を三つ編みのおさげに結った女子が写っていた。憂いを帯びた無表情は愛想がなく、実に冴えない印象だ。積極的にヒーローになりたがるような雰囲気ではない。
「実技試験で見た彼女の個性は素晴らしいものだった。あれは長い年月をかけて洗練されたものだよ。個性の扱い方だけならすでにプロにも匹敵する……今回の新入生の中では、誰よりも『ヒーローに近い子』だと僕は思う。もちろん、どの生徒も素晴らしい子ばかりだけどね」
 楽しそうに理由を述べる根津は真っ直ぐに相澤を見つめたままだった。獣特有の顔立ちからはその表情に変化は見られない。けれど、言葉の真意は計り知れなくともそれが本心であるのは間違いないのだろう。
 しかし、やはり腑に落ちない部分も、ある。
 黙ったまま納得できないというオーラを放つ相澤に、根津は「理由は他にもあるけど」と前置きしてから締め括った。


「きっと君も、彼女に会えばわかることもあるさ」


(確かに、個性の使い方だけなら生徒達の中でもトップクラスだ)
 頭の片隅で、入試試験を全て終えたあとに聞いた根津の言葉を思い出し、敵を次々と倒しながら相澤は心の中で呟いた。
 視線の先には、棍を振り回しながら大立ち回りしている佐鳥の姿がある。無表情で敵の攻撃を受け止め、流し、反撃していくその様は、『敵連合』が現れた直後に「逃げた方がいい」と進言していた人物とは到底思えない動きだ。淡々と向かってくる敵を全て吹っ飛ばし、無慈悲にも地面に叩き伏せていく。一体、あの細い腕と足のどこにそんなパワーがあるのか。疑問でしかない。
 だが、何より相澤を驚かせたのは彼女のその動きが全て『正当防衛の範囲にしか見えない』ことだった。彼女は器用に自分の『個性』を駆使して敵の攻撃を素早くかわしているようだが、相手に向かって一切それを使おうとしない。反撃する時は常に棍か素手で殴り、足で蹴り飛ばすだけ。
 それは彼女が『今の自分の立場』を十二分に理解している証拠であり──そして、その不利な状況を持ち前の戦闘力で補っているという証明でもあった。
(それだけじゃねぇ……俺の死角に入り、敵の注意を分散してやがる)
 少しでも相澤の隙を狙おうとする者がいれば、その間に素早く割り込んで攻撃を妨害する。それだけで彼女がサポートにも特化した人物であることが理解できた。
 ──実力は申し分なく、心強い。
 その反面で、相澤はその戦闘力の高さにも疑問を抱いた。
 一見、どこにでもいるような普通の十五歳の少女。なのに敵と相対する時のその佇まいはあまりに場馴れしているようで、襲撃の際は誰よりも早く敵の気配を察知し、状況をうまく飲み込めない生徒達の中で唯一警戒心を解かなかった。あれはおそらく、彼女の経験則からだろう。
 それはつまり、彼女が『そういう環境』に身を置いていたという可能性を示唆している。
 その環境がどんなものであるか、なんて──今は考えている暇もないが。

「二十三秒」

 ふと低い声が聞こえ、相澤は視線を動かした。
「本命か」
 体中に人の手がついた男が、自分に向かって走ってくる。
 これまでずっと傍観していた彼が主犯格であるのは間違いなく、相澤も応戦すべく襲いかかってくる敵を殴り飛ばし、主犯を捕らえようと自身の首に巻いた捕縛布を勢いよく投げた。
 しかし、それはいとも簡単に掴まれ、阻止されてしまう。
 舌を打ち、次はその主犯格の男の懐に飛び込むと右肘を打ち込んだ──が、ギリギリのところでそれは受け止められてしまう。
 その時、囁くような低い声が聞こえた。
「動き回るのでわかり辛いけど、髪が下がる瞬間がある」
「!」
「一アクション終わるごとだ。そして、その感覚はだんだん短くなってる……無理をするなよ、イレイザーヘッド」
 その時、打ち込んだ右肘に痛みが走った。男に受け止められた手から、服だけでなく皮膚までボロボロと崩れ落ちたのだ。
 身の危険を感じ、男を殴って後ろへと飛び下がる。その隙を狙って再び次々と襲ってくる敵の攻撃をなんとかかわすと、そこへ相澤を守るべく佐鳥が飛び込んできて大きく足を旋回させ、敵を薙ぎ払った。
 背後に立った彼女は振り返ることなく相澤に声をかけた。
「先生、大丈夫ですか?」
「っ……問題ない。それより佐鳥、こいつらを任せてもいいか」
「!」
 連続した個性の使用と多勢との戦闘で、そろそろ相澤も疲労が溜まってきている。平然を装うが、息も乱れていた。
 だから現状の打開策として、彼は佐鳥に声をかける。
 すぐに返事がないのは相澤の言いたいことを理解し、その判断が本当に正しいのか彼女なりに悩んでいるからだろう。
「……『個性』を使ってもいいんですか?」
 周囲を警戒したままなので顔は見えないが、佐鳥は少しだけ迷いのある声で尋ねた。
 本当なら、相澤が許可を出すわけにはいかない問題だ。できることなら、他の生徒達にも個性を使わせずに避難させたかった。
 しかしこうなった今、時は一刻を争う事態である。
 あの主犯格の男は少々厄介であると、プロの勘が告げていた。
「ああ。ただし、『守るため』に使え。危険を感じたらすぐに戦線離脱しろ」
「……了解しました。でしたら、数秒あれば充分です」
「『副作用』は?」
「この程度の敵なら、問題ありません」
 透き通る声ではっきりと告げた佐鳥は再びフードを深く被り、腰を屈める。
 暗がりから僅かに見えた瞳が、微かに輝きを増した。

 ふわり、と風が広場を吹き抜ける。

 そして、佐鳥は瞬く間にその場から姿を消した。
 目にも止まらぬ速さで広場を駆け巡りながら、敵を翻弄し始めたのだ。
「な、なんだコイツ……!!」
「さっきよりも速ぇぞ!」
 縦横無尽に人と人の間を駆け抜ける佐鳥の姿を敵は捉えることができないらしい。誰もが狼狽え、無防備にも立ち尽くし、彼女の残像を目で追いかけるだけだった。
 そんな彼らの不意を衝いた佐鳥は思い切り棍を振り回し、足を旋回させ、拳を繰り出した。頭、腹、首──的確に相手の急所を狙って強い打撃を与えていき、やがて彼女が動きを止めた頃には全員が地面に伏していた。
 マントを靡かせながら、ひゅんひゅんと得物を回転させて空を斬り、握り直す。

「鎮圧、完了しました」

 完膚なきまでの勝利をもって、彼女は戦闘の終わりを告げた。
 ──これが、佐鳥の実力か。これだけの敵を本当に一瞬で鎮めてしまうとは。まだ『候補生』とはいえ、ここまでの実力があるなら頼もしい限りだ。
 ヒーローらしい様に、相澤は思わず口角を上げた。
 しかし、その余裕は長く続かない。
「……はあ?」
 その圧倒的な実力の差を目の当たりにして真っ先に声を荒げたのは『敵連合』のボスであろう男だ。苛立つ様子を隠しもせず舌打ちを零しながらガリガリと自身の首を掻き毟る。
「んだよ、これ……全然役に立ってねぇじゃん……お前もチート個性持ってんのかよ、うぜぇ……」
 顔や体に無数の手を取りつけたその男は、ぶつぶつと呟きながら鬱陶しいと言わんばかりに佐鳥を睨みつける。
 けれど、そこで何を考えついたか彼はニタリと笑った。
「……まあ、いいや」

 ──ならまずは、手始めにお前から殺してしまおう。

 そう呟いた男の言葉に反応するように、佐鳥の背後に大きな影が現れた。


 *** *** ***


 ──『平和の象徴』を殺す。
 学校に侵入してくるなりそう大見得きったものの、自分の前に立ち塞がった敵は大したことのないチンピラの寄せ集めで、自らの『個性』で『凍らせて』しまえばなんてことのない相手だった。
 辺り一面に氷景色を作り上げた轟は、体の一部を凍らせたまま意識を失った男達を見下ろして舌打ちを零した。
(やっぱ、雑魚には大した情報は教えねぇーか……)
 彼らの目的である『オールマイトを殺す』役目を担っているのは、今生徒を相手にしているチンピラではない。おそらく自分をこの『土砂ゾーン』にワープさせた靄の男や、彼らを引き連れて真っ先に現れたあの無数の手を体に取りつけている男だ。
 ──早く広場の方へ戻らなくては。
 散り散りになって戦況がどうなっているかは分からないが、セントラル広場に向かえば相澤がいる。
 彼の実力はここに来る前に知ったが、いくらプロとはいえ相手は多勢だ。万が一のことも考えれば、自分が行けば少なくとも助っ人ぐらいには役に立てるだろう。
(それに、佐鳥のことも──……)
 ふと脳裏を過った人物に、轟は自分の手を見下ろす。
 靄に包まれる直前、自分も危機に直面していたというのに轟は近くにいた佐鳥を助けようと手を伸ばしていた。
 理由なんてない。ほぼ無意識の行動だった──と思う。
 ──否、嘘だ。轟は心のどこかで彼女に借りを返さなければと思っていた。いつまでも彼女を気にかけている姉の代わりに、自分が借りを返しておけばいい、と。
 だから、咄嗟に彼女を助けようと体が動いたのだ。
 でも、結局その手を掴む前に、自分達はこうして別々の場所へと飛ばされてしまった。
 掴むことができなかった手を、ぐっと握りしめる。
 どうにも言い表すことのできない小さなしこりが、いつまでも胸の中を漂っていた。
(……急がねぇと)
 彼女とて、この雄英高校のヒーロー科を推薦で合格した一人だ。他の生徒と違って異常に気づいた瞬間から警戒心を絶えず持っていたところから察するに、それ相応の実力があるのは間違いない。この程度の三下が相手ならば、きっと轟が彼女の身を案ずる必要などないだろう。

 ──けれど、ここに飛ばされる前の、あの表情──。

 いつも浮かべている上辺だけの笑顔なんてない。無表情ですらない、あの表情。
 何かに怯えているような、危険を察知して威嚇する獣のようなあの眼差しが、『あの日』に見た笑顔と同じく脳裏に焼きついている。
 心の中が、冷たいものと温かいものが混ざり合う。言い表すことのできないその感情を、轟は上手く自分の中で昇華できなかった。
 ドカン、と何かが壊れる激しい音が響く。
 考えに耽っていた轟は顔を上げ、すかさず地面を強く蹴った。全速力で駆け抜け、土砂ゾーンの出口を潜り抜ける。
 激しい物音は広場の方からだ。ここからはそう遠くない。
 大勢いた敵達も一人で飛び込んできた相澤だけを狙ったのか、道すがらに出会うことはなかった。妨害されることなく、轟は噴水の方へと駆け抜ける。

 ──また、轟音が響く。

 するとその時、自分の前を爆豪と切島が横切った。どうやら二人は土砂ゾーンの隣にある倒壊ゾーンに飛ばされていたらしい。
 広場に向かう轟に気づいた爆豪がチラリと彼に目を向ける。しかし、何か告げる暇もなく、彼は個性を発動して一直線に空を飛んだ。
 彼が自分と同じ場所を目指しているのは明白だった。
「轟! 無事だったか!」
「広場に向かうのか」
「おう! あのワープ野郎を捕まえんだ!」
 なるほど、そうすれば確かに奴らは逃げられない。ワープゲートから現れたのだから、逃げる時も同じ場所から逃げるはずだ。
 轟も二人に加勢すべくあとを追いかけ、セントラル広場へと足を踏み入れる。
 そこで、轟は脳が剥き出しになった敵に捕らえられているオールマイトを見つけた。次いで、それを緑谷が助けるために飛び出そうとしている。
 入り口へと繋がる階段付近では、相澤を担ぐ蛙吹と峰田の姿が見えた。
 他に敵はいないか、視線を周囲に動かす。
 ──広場に面した水面に、見覚えのあるワインレッドのリボンが浮かんでいる。
 それが誰の物であるかすぐに思い出し、轟は目を見開いた。

「轟さんは『優しい人』なんだな、と──」

 胸の内に燻っていた言葉が。
 脳裏を過った笑顔が。
 冷たい業火となって、激しく燃え上がる。

 オッドアイの鋭い目が、冷たい敵意を宿した。
 躊躇いなく自分の足元から『右側の個性』を発動させ、敵に向けて放つ。

「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」

 爆豪が、標的を捕らえた。
 同時に体の一部が凍った敵の手からオールマイトが自力で抜け出したのを見届けて、轟は静かに告げる。

「平和の象徴は、てめぇら如きに殺れねぇよ」


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