そして壊れる
3人のアル・サーメンがシンドリア王国へ向かってきた。
それに気づいたのは魔導師達だ。
ヤムライハ「来たようです」
シンドバッド「この国は、俺と俺の国民達の自由の砦だ、何人たりとも、その自由を侵させはしない。
シンドバッドの名において命ずる。シンドリア王国軍、出撃せよ!」
スパダ「来たみたいだぜ」
エナ「楽しみね」
アルコ「早く終わらせてお姉さんと飲みに行きましょう」
*
シンドバッド「状況を」
ジャーファル「はい、全軍展開を完了しました。八人将も、各々所定の配置についています」
魔導師「敵の先鋒が間もなく射程に入ります」
ジャーファル(エナ…)
シンドバッド「お前に先陣を切らせる理由は、分かるな」
エナ「分かってるよ、私の意志」
シンドバッド「なら良い、死ぬなよ」
ジャーファル「エナ、気を付けるのですよ」
エナ「大丈夫よ、任せてね」
ジャーファル(あの時右の脇腹をずっと押さえていたような…まさか、)
*
エナ「どんな場所に於いても信じて戦え。必ず、シンドバッド様の元へ帰るわよ」
スパダ/アルコ「了解!」
エナ「行くよ!」
3人は大きく跳躍するのだった。
ドラコーン「放てー!」
魔導師「矢が放たれました」
魔導師「あっ、強いマゴイの反応が来ます!」
シャルルカン、マスルールにヤムライハは敵と対峙する。
ジャーファル「出てきましたね、闇の金属器使い」
エナ「苦無で黒い鳥を仕留め、上を飛んで移動。後はピスティの鳥が拾ってくれるから」
スパダ/アルコ「了解!」
*
八人将がそれぞれの眷属器を使い敵を圧倒する中、エナ達はピスティと共に黒い目玉のような物に近づいた。
エナ「もっと近づくよ、アルコは待ってて」
ピスティが命令を出し、アバレウツボがそれを食い尽くそうとする。
ピスティ「なっ!」
スパダ「何だ、この目玉!俺がきる、」
エナ「待ってスパダ!迂闊に触ってはダメ!」
スパダ「あ!うああああ!」
ピスティ「取り込まれた?!」
アルコ「先輩!」
エナ「スパダーーーー!」
スパダは黒い目玉に取り込まれた。
ピスティ「は、白骨化…」
エナ「そんな……」
アルコ「エナさん、危険です!あがってきて下さい!」
*
シンドバッド「分かったぞ、彼らの目的はアリババ君とアラジン君だ」
ジャーファル「そんなっ、」
シンドバッド「こうなった以上、俺が」
ジャーファル「しかし、」
練紅玉「シンドバッド様、私に協力させて下さい」
*
ヤムライハとスパルトスで闇の金属器使いを倒し、更にシンドリアの結界を覆い、中へ侵入しようとしていた黒い物体を、半分ほど消滅させた。
ヒナホホやドラコーン達も、黒い物体を炎を使って消滅させた。
それを見てピスティは不安に思う。
ピスティ「効いてるけど、ヤムの魔法みたいに一気にやらないと…あ!」
ピスティやエナ、アルコの前を練紅玉が通った。
エナ「姫様!」
練紅玉は金属器を発動させた。
ジャーファル「これも貴方の読み通りなのですか、シン」
シンドバッド「まだ終わっていない。転送魔法の用意を」
*
その後シンドバッドは、自らを転送しイスナーンを金属器で倒したのだった。
シンドリアには、再び平和が訪れる。
シンドバッド「皆、ご苦労だった。一つの危機は去ったが、俺達の前にはまだ多くの困難が待ち受けている。だが恐れるな。今力は、俺たちの下に集いつつある。
掴むぞ、この手で!俺たちが願い続けてきた世界を!」
八人将「はっ!」
シンドバッド「それこそが、俺達の運命なのだ!」
ジャーファル「今回は被害を極力抑えることができましたね」
シンドバッド「ああ、犠牲者もいないだろう、なあ、ドラコーン?」
ドラコーン「いないぞ」
エナ「…シンドバッド様」
ピスティ「あ…」
シンドバッド「エナ達もご苦労だったな、スパダは何処だ?」
ジャーファル「エナ、アルコ…スパダは!?」
エナ「スパダは…シンドリア国の平和の為尽力し、殉職致しました」
*
平和が訪れたシンドリア国に、たった1人の戦士の訃報は瞬く間に広がった。
エナとアルコは、スパダと婚姻関係を結んでいたエリザベスや、彼の故郷へ足を運んだ。
エリザベス「エナ、貴女が守るって言ったんじゃない!スパダは、もうここには帰って来ないのよ!」
エナ/アルコ「申し訳ありません」
*
帰りの船で、看板にいるエナを見つけ、アルコは近づいて話しかけた。
アルコ「エナさん」
エナ「何?アルコ」
アルコ「あの時、どうして僕を前に出してくれなかったんですか?僕ならスパダ先輩みたいに待ってくれる恋人や奥さんもいないですし、」
エナ「そんなこと言わないで、アルコ。
スパダに怒られるよ。いつも私は戦う前に、信じろって言うでしょ?
それみたいに、スパダは悔いのない戦い方をしろって言ってたんだよ。
あいつはそれを体現してみせた。
だから私は、シンバやスパダ、アルコを信じて戦う事を体現してみせる。これからも、この国のために!」
アルコ「はい!」
*
エナ「只今戻りました」
シンドバッド「ご苦労だったな」
エナは王室に来て報告をしていた。シンドバッドの後ろには、ジャーファルも控えている。
エナ「これから、国内に知れた密偵部隊はどう扱うのですか?」
シンドバッド「知れてない。お前らは、密偵部隊改め先駆隊だ!」
エナ「凄い言い訳の仕方ですね」
シンドバッド「まあな!名は改めたが、スパダのいた証は、必ず残す」
エナ「ありがとうございます」
シンドバッド「お前はこれからも隊長として引っ張ってもらうが、2人じゃ物足りないな。新しい隊員を入れよう」
エナ「はい、人数が多いのは助かります」
シンドバッド「よし、退がれ」
エナ「失礼します」
シンドバッド「ジャーファル、後を追ってこい」
28.4.1
お疲れ様でしたスパダさん