音駒

「俺達は血液だ。滞りなく流れろ。酸素を回せ。

『脳』が正常に働くために」

因縁の音駒との再戦は孤爪研磨のサーブから始まった。

烏野 vs 音駒

BR 影山S 孤爪研磨S
FR 田中WS 犬岡走MB
FC 日向MB 山本猛虎WS
FL 澤村WS 海信行WS
BL 東峰WS 黒尾鉄朗MB(夜久衛輔L)
BC 北来MB(西谷L) 福永招平WS


「旭さんッッ!」
「スマン!ちょっと短い!」
「旭さん一ヶ月もサボるからっ」
「スミマセン!」
「影山カバー!」「ハイ!」

影山はボールの落下地点に走る。サイドラインからの距離、ネットからの距離充分。
後ろ目に位置を定めて、体を捻らせ、飛ばす。精密な狂いのないトスが向かうのは、目を瞑った日向の手のひら。

「!?」
「あんなとこから速攻!?」
「すげっ、速!何?」

バックゾーンの中、エンドラインギリギリに食い込むボール。目を見張る音駒の奴ら。まずは1点。いい流れ。試合は烏野が流れを掴んで進行していく。

「フェイント来る!前っ!」
「ナイス田中!」
「すまんノヤっさんカバー頼む!」「任せろ!」

「ノヤ、レフト!」「ライト!」
「陽がトスを、」「えっ、影山がトス呼んだ?!」
「影山ラスト!」

二枚ブロック、サイドライン近めに撃ち抜くストレート。決まった。また烏野の2点リード。

「ノヤのトスで打ちたかったぜー!いいな影山チクショー!」
「スッ、スミマセン」
「決めたんだから褒めてやれよ陽!」
「ああ!悔しいけど認めるぜ影山!お前は凄い!もうスパイカーになれ!」
「待って!俺の居場所がなくなる!」
「出たヘナチョコ」
「旭さんもっとドンと構えて!エースなんだから!」

しかし、いつまでも烏野に流れが向いているわけではなかった。音駒のセッター孤爪の巧みな視線でのフェイント。地道なレシーブで、着実な1点をもぎ取っていった。

最初クリアできそうにないゲームでも、何度も繰り返すうちに慣れる。孤爪はそう言っていた。

「やっと掴まえた!!」

やがて追いついた7番犬岡は日向の速攻をブロックして1点。結果、25対22。1セット目を先取したのは音駒だった。

「日向がきつくなってきたら、決めるのは俺達だ。取り返すぞ!陽!」
「おす!旭さんからそんな言葉が聞けるなんて!感涙っス!!聞いたか!ノヤ!」
「あ!何だよ!何すか!旭さん!」
「聞いてなかったのか・・・」
「すんません旭さん!アイツ肝心な時に!!
次、旭さんがカッコイイこと言う時は耳ほじくり返してよく聞かせますから!」

2セット目に入っても、日向は影山との速攻を打ち続けた。犬岡だけでなく、音駒のほとんどのスパイカー達がその動きに慣れてきたが、烏養はそれでも日向を下げなかった。そして陽と黒尾がネット前で対面するローテーションの時。黒尾は陽に話しかけた。

「おい、陽。お前はその程度でいいのか?」
「____はい?」
「皆が100パー出して戦ってんのに、お前はそんな省エネ運転ですか?」
「黒尾さん、試合ですから、今」
「試合だから言ってんだよ。ここで俺の言うこと聞いといた方がいいんじゃないの?

お前、あのチビちゃんにトス譲ってるっぽいから」

「_____譲ってなんか、」

「エースの顔を立たせなきゃ。
あのセッターの攻撃に合うのはチビちゃん。
自分の本業はブロッカー。スパイクは控えめに。

そう思って引っ込んでんだろ。


_____全部バレてんだよ。


お前が囮に来てもぜんっぜん面白くねぇ!
打つポーズだけ取っておいて、ボールは呼んでないって分かる!


遠慮とかすんな!!

全てのボールに、全てのチャンスに、本気で食らいついてけよ!!!!」




29.8.28

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