「名前ちゃん名前ちゃん」



「……」



「名前ちゃん名前ちゃん」



「……」



「名前ちゃ「うるっせェェエ!!!」






この間の罰ゲームからなんだかよくわからんが仁王雅治に懐かれてしまったあたし。なぜ。

付き合っていた女の子ともちゃんと話し合って別れてきたらしい。え、お前どうした。
女の子達も仁王の態度にびっくりしたらしく惚れなおしたとかなんとかで仁王人気が高まったんだとか。






「プリ」

「ついてこないで下さい」

「ピヨ」

「だめだこの子日本語通じない」





健全になったのは素晴らしいと思うがあたしに付き纏うのはやめてほしい。





「丸井、この人どうにかして」

「えーむり。つーかもうちょい優しくしてやれば?」

「優しいからまだ殴ってねぇんだろーが」

「……ですよねー」





元凶であるこいつは役に立たないしホント勘弁してほしい。女の子からの目線も痛いし、どうしてこうなった。






「名前ちゃん、俺今誰とも付き合ってない」

「そーかい」

「酷いのぅ。全員と別れたら付き合う言うちょったのに」

「言ってねぇよ」

「騙されたナリー。まるで詐欺師じゃー」

「いや詐欺師お前な」






小ボケかましてきたのでツッコんでやるとしょぼくれた仁王。
え、ちょっと可愛い。






「名前ちゃーん……」

「くぅっ、」

「仁王、お前名前が可愛いキャラに弱いの知っててやってんだろ」

「プリ」





捨てられた子犬よろしくじっと見つめられてくらりと眩暈がする。だめだめあたしには赤也がいるんだから!それに仁王こんなキャラじゃないしなんか企んでること請け合いだ。






「そそそそんな可愛い子ぶったってだめなんだからね!」

「おい、お前鼻血出てんぞ」

「まじか」






どうも身体は正直らしい。
紅い液体を拭いて仁王を見れば、ほら、落ち着いてみればただのプピーナじゃん。






「あたしは騙されんぞ仁王雅治!」





びしっと指をさして言うと無駄だとわかったのかかわいこぶるのやめた仁王。くそ、やっぱりペテンか!






「はぁ……名前ちゃんは俺のなにがいやなんじゃ?」

「丸井の友達」

「なにその偏見!俺お前にとってなんなわけ!?」

「敵」

「……ですよねー」





ぐい

丸井とガン飛ばしあってたら間に仁王が入ってきた。ぶすっとした仁王はブンちゃん嫌じゃ、と呟く。





「は?なんでだよ」

「ブンちゃん基準で名前ちゃんの中の俺の価値が決まるって、お前さんどんだけ名前ちゃんの中で存在でかいんじゃ!仲良すぎじゃろ!」

「なに言ってんのこの子」

「さぁ俺にもわかんね」

「言ってる傍から仲良しじゃな!俺ちょうアウェー!」

「だめだ仁王壊れた」






ぐすぐす言ってる仁王は放置して次の5時間目の準備をせねば。






「あれー名前どこ行くのー?」

「屋上いてきま」

「先生には任せろ!」

「ありがと」






友達にひらりと手を振って教室を出るとてくてくとついて来る足音。






「……」

「ピヨー」

「……」

「プリッ」

「……はぁ」






ちらりと見遣るとにこにこと笑う仁王と目があう。
くそっ、騙されんからなあたしは!







ペテン師が笑う頃に



Title by 梨本うい様



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