今回は迷わないですよ、だって

元十二番隊ですから!!








「阿近!」



勢いよく技局に入る。するとそこには少し懐かしくて愛しい空間があった。この匂い、独特の雰囲気、全てがあたしの大好きな十二番隊だと教えてくれる。はぁ、落ち着く。



「…誰だテメェ」
「えぇ!?なにその冗談面白くない!」



久しぶりに会った阿近も何も変わってなくて、やばいホームシック、帰ってきたくなっちゃった。



「お前なぁ、いきなり消えてまたいきなり現れて俺がなんとも思ってないと思ってんのか?」
「えへ、心配したの?阿近ちゃんっ」
「うぜぇ」



阿近とは十二番隊にくる前からの仲で、こうやって馬鹿なこと言ったり本気で相談したり出来るのコイツしかいないんじゃないかな?って思ってる。コイツがどう思ってるかは知らないけど、



「三番隊三席だって?」
「うん」
「お前あの人はもういいのかよ、あんだけここで戻ってくるの待つんだ!って言ってたじゃねぇかよ」
「いいわけないじゃん、今だってあたしの隊長はあの人しかいないよ」
「じゃあなんで、」



だって知らないうちに異動決まってたし、それにあんな切なそうな顔で頼まれたら断れなかった。



「おや、」
「! 局長!」



久々の局長の声がして、振り返ると相変わらずな姿でこちらを見ていた。隣にはネムさんも、



「…誰だったかネ君は」
「わーその冗談面白くなーい笑えなーい、なぜなら二回目だからー」



お約束のように阿近と同じことを言う局長。コノヤロー、



「アァ!実験体の名前か!」
「え、なにその認識あたし実験体じゃないですし!」
「で、三番隊の三席が何の用だネ」



そうだ局長のせいで忘れそうになってたけどあたしの目的はこんなコントすることじゃないのだ。



「そうでした局長!なんで勝手に異動の承認してるんですか!」
「はて、なんノことかネ」
「惚けないで下さい!てかその顔止めろ腹立つから!」



局長は急に真剣な顔になって黙ってしまった。いや止めろとは言ったけどそこまで俊敏に真剣な顔にならなくても、



「何故そこまで十二番隊に執着スルんだ」
「…っ」
「まだあの男を待っていると言うのかネ」



「あの男もう戻って来ない」



止めろ


「もう死んでるかもしれない」


止めろ



「そんな男を待つ必要は無いのだヨ」

「止めろ!!」



局長は顔色一つ変えなかったけど、ネムさんと阿近は驚いていたと思う。だって顔が少し引き攣ってたから、



「…止めてください、隊長は生きていますし戻ってきます」



局長を睨みつけてハッキリ言うと、はぁぁぁと長い溜息をつかれた。



「実験体の分際でいっちょ前に反抗かネ、まぁいい。オマエは席官になれば現世に行く機会が増えるとかの可能性は考えなかったのか」
「!」
「三番隊に渡すのは癪だったがオマエのことを考えて異動を承認してやったというのに、」
「局長…」
「それにオマエのデータは採り録り飽きたヨ、三番隊へやれば面白そうなデータが採れそうだったからネ」



データデータって言ってるけど、局長があたしのこと考えてくれてたのが凄いわかってしまってちょっと泣きそうになった。泣かないけど。



「ありがとうございます」
「フン」
「あたし三番隊で頑張ろうと思います」



局長、ネムさん、それから阿近にさよならを言って外へ出た。
最近ずっとモヤモヤしてたのに







なんだか今凄いスッキリした気分
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