「出せー!」



皆様、私今三番隊隊舎に
軟禁
されてます。



「おいこら狐テメェ後で覚えてろよ!狐小屋にぶちこんでやる!」
「おー怖ぁ」



ニヤニヤこちらを見下ろしてくるこいつこそ軟禁の犯人、市丸ギン!
まじムカつくムカつくムカつく殺殺殺殺殺殺殺...



「なぁなぁそろそろ『市丸隊長』って呼んでくれへん?僕寂しいわぁ」
「狐」
「なんでや」



うわぁツッコミいれよったこの狐、うぜぇ。
なぜあたしが軟禁されてるのかというと、あたしが異動を認めないから。そして決して『市丸隊長』って呼ばないから。
さっきからなぜか呼び方にこだわる市丸ギン。ずーっとこんな感じでしつこく言ってくる。だが断る!



「名前ちゃーん」
「あーもううるっさい!あたしは三番隊の、まして三席なんかになったなんて認めない!あんたが隊長なんてことも認めない!以上!」
「えー、やってもう異動は決まってしもたし。僕強いから隊長なってもうたんやもん」
「キモい」
「ひどー」



酷いのはどっちだ。あたしは地味に静かに十二番隊で過ごすのが好きだったのに。
局長も局長だ、簡単に承認しやがって。あたしがどんな気持ちで十二番隊にいるか知ってるはずなのに、



「名前ちゃんは誰のことも『隊長』って呼ばへんよね」
「へ・・・」



驚いて顔を上げれば搗ち合う目と目。逸らせなくなった。全て見透かすような目にのまれる、苦しい・・・



「十二番隊長さんのことも『局長』て呼びよるね」



だめ、しんどい



「なぁ、なんでなん」
「っ」



記憶が蘇る、懐かしいあの人の、






「・・・あたしが隊長とお呼びするのは、あの方だけだ」



やっとのことで出たその言葉は消え入るようにとても小さく、情けなく震えていた。




ぽんっ
「っ!」


「ごめん、名前ちゃんがかわエエからついイジメすぎてもた」



あたしの頭に手をのせてにっこり笑う市丸はさっきのふざけた狐とは全然違った。



「それ以上は聞かんし、隊長もつけんでエエから。だから嫌かもやけど三番隊の三席として頑張ってくれへん?」



そんな顔で言われたら頷くしかないじゃない。バカヤロー。



「ん、エエ子」








隊長、あたし三番隊に異動になりました。早く帰ってきて。
あたしはあなたと穏やかに過ごすのが好きだったんだから、




ねぇ、隊長
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