「よう、名前」




いつもどおりサボりの狐とそれを連れ戻しに行った副隊長不在の三番隊に珍しい客がきた。




「阿近」




壁に寄り掛かる姿に返事をすればにやりと上がる口角は想像したものとぴたりと重なって思わず小さくふきだした。次の次の行動まで読めるようになったところから付き合いの長さを再確認。やはりなんだかんだ言っていつも支えてくれる彼はあたしにとって必要不可欠な存在だ。




「なぁに笑ってんだよ」

「阿近こそにやにやすんのやめなよ変態みたいだから、あごめん変態だった」

「解体されたいらしいな」

「さぁせん」




手に握られた書類にはしっかりと三番隊とかかれていて、どうやら本当に客らしいので一応お茶を出しておく。




「残念だけど市丸ならサボりだよ。吉良副隊長もいないし、」

「あぁ、お前でいい」

「あそ」




受け取った書類に軽く目を通して必要なことを記入してから市丸の机に置く。あとは判を押すだけだ。




「……」

「……なんすか」




視線がうっとうしく半分睨んで聞くと予想通りくつくつと笑う阿近。こういう憎たらしいとこも変わんないなぁと多少ズレたことを考えていた。





「もうすっかり三席だな」





言われた言葉にきょとんとすれば、いいことじゃねぇかと言葉を続けられた。





「そう、かな?」

「おー」

「ホントはあたしだってサボりたいんだけどね、」

「サボんなくなったよな」

「吉良副隊長がかわいそうだから」





それをきいた阿近は面白そうに咽の奥で笑ってあたしの頭を撫でた。あたしと同じくらいだった手はとても大きくなっていて、驚きとちょっとした悔しさが込み上げてきた。





「……子供扱いやめてくださーい」

「わりぃわりぃガキじゃなかったか」

「むかつくー!」





今日の阿近はそうとう機嫌がいいらしい。
楽しそうに笑うその顔を見て安心するあたしは、隊長だけじゃなく彼にも依存しているのかもしれない。











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久々の阿近のターンでした
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