「名前」

「あ、阿近」

「今日呑みいくけど来るか?」

「いくいく!」

「じゃあ終わったらいつもんとこで先呑んでろ。後から行くから」

「はーい」
















「……で?」

「あぁー阿近だぁー!!」

「なんでお前こんな酔ってんだ」

「酔ってないよーだ」

「酔ってんだろーが、いつもはザルのくせに珍しい。なんかあったんだろ、言え」

「なんもないし!」

「お前が酔うのは精神的に不安定なときだ」

「……」

「…ばーか泣くな」

「泣いてない」

「はいはい、で?」

「…なーんかさ、このまま馴れちゃっていいのかなーって。このままだとあたし隊長のこと裏切ってる感じがするんだよね。三番隊に馴れて三席に馴れて、どんどん十二番隊から離れていってる。十二番隊から離れれば離れるほど隊長との記憶が消えていく気がする。隊長のこと待ち続けるって決めたのに。最低だよね、あたし。局長があたしのこと思って異動承認してくれたのに、三番隊のみんながこんなあたしを三席に迎え入れてくれたのに、こんなふうに自分のことしか考えてないんだよ」

「……あの人だったらなんて言うと思う」

「ん?」

「三番隊に馴れるな、俺のこと忘れるな、なんて言うと思うか?」

「思わない」

「じゃあもう答えは出てんだろ」

「…うん」

「それに三番隊に馴れたからって十二番隊に来たらいけないわけじゃねぇだろ。いつでも来いよ」

「阿近…」

「実験体として」

「………むっかつく!! なに?結局そういうオチ!?」

「はっ、とにかく、そんなあの人のこと思ってるならお前ん中からあの人との記憶が消えるわけねぇってことだ」

「ほんっと口下手、一言多い」

「うるせぇよ」

「……ありがと」

「どーいたしまして」

「じゃ!気を取り直して呑もー」

「お前はもう止めとけ」

「なんでよ!」

「引きずって帰るのは御免だ」

「だから酔ってないってば!」

「うるせぇテンションがうぜえ」

「酷い!!」
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