恋愛感情とは怖いもので一目みて恋だとわかることもあれば友達と恋愛の境目にいつまでも気づかないものもある


でも、

一番の親友になりたい、とか
一番を求めた時点で



きっと――――















「そう、か」


「……うん」


「いいコンビじゃと思うがな。何をそんなに暗い顔することがあるんじゃ」



「だって、」





想いに気付くのが、おそかった。

ただ単純にそう思った。

もっと早くに気付いていたって何も変わらないとは思うけど
丸井が離れてから気付くなんて




「馬鹿か、あたしは」




むなしすぎる





「奪ってやろうとか、思わんの?」


「奪うなんて……むりだよ」




正直、奪うとかじゃないけど、丸井があたしの隣にいてくれたらいいのにとか、そういうことは考えてしまう。

でも、むりだ。

あの子はあんなにかわいいし、丸井のことをすごく好きだし
丸井だって……あの子のことをすごく大事に思ってる




「ほんとに、そう思うか?」


「え?」




上げた視線に仁王の視線が重なった。
真っすぐ見つめられて、うろたえる。

だって、そうでしょう? それしかないじゃん

丸井はあの子が好きで
あの子も丸井が好き

あたしの入り込む隙間なんてまったくないんだ




「はぁ」


「な、なんで仁王が溜め息つくのさ!」


「お前さんは……どうして普段は鋭すぎるほど人の気持ちに敏感なのに恋愛のこととなると鈍感なんじゃ」


「え、え?」


「まぁええ。お前はなんもせんで正しいと思うことをしんしゃい」


「? ……う、うん」




わからんでいいよ、そう言いながら仁王が髪をぐしゃぐしゃにするから、仁王の表情は見えなかったけど、




「もー、髪ぐしゃぐしゃじゃん!」


「名前らしいぜよ」


「どういう意味!?」




仁王なりに笑わせてくれようとしたのかな、なんて。







「そろそろ本性暴こうかのぅ。なぁ?    」










「名前」



昼休み、丸井がいないことにはもう慣れた。


……嘘だ。
丸井があの子とお昼を過ごしてると思うと胸のあたりがぎゅうっと悲鳴をあげる。

でも昼は仁王が一緒に食べてくれるから、寂しくない。

あたしはなんだか仁王に申し訳なくて謝ったけど、仁王は俺が好きで名前と食べてるのになんで謝るんじゃって笑ってくれた。
その仁王の優しさが、今はすごくありがたい。



「ん、どこで食べよっか?」


「屋上にせん? 寒いかもしれんけど」


「あ……」




屋上。丸井とよくお昼食べてた場所だ。

……なんかもう気持ち悪いな、自分。
でも、未練たらたらなのは許してほしい。




「わかった。じゃあ、」


「あ、すまん。俺寄る場所あるから先行っちょって」




じゃあ、と屋上とは逆方向へ向かった仁王に背を向け屋上に向かう。


丸井は、どこで食べてるんだろう。
きっと彼女のこと気遣って、あったかい場所とかで、
あーもう何考えてんだ、あほ。


屋上に繋がる扉に手をかける。

いつになったって頭んなかは丸井ばっかで、
こんなに好きなのになぁ。
なんで今まで、気づけなかったんだろう。




「あ、あんま寒くないかも……」




吹き込んでくる外の空気をゆっくりと身に受けながら、一歩を踏み出そうとしたところで止まった。




「最近あんた丸井くんとどうなの?」


「えー? まぁ丸井ブン太はべた惚れって感じ? なんか簡単すぎて逆につまんないわー」


「ははっさすがー!」


「でもなんかおごってくれたりプレゼントくれたりとかはないからさぁ」


「え〜最悪じゃん」


「まぁいいんだけどね。もともとテニス部の上の方だったら誰だってよかったし。やっぱテニス部の彼女ってだけでうらやましがられるし? レギュラーなだけ我慢しないと」


「あはははっ悪女〜」









どういう、こと ?







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