「なーなー俺彼女できた」


「は」






テニス部の休みとあたしが所属する吹奏楽部の休みが重なった日は二人で遊ぶ。
いつしかそれが当たり前になっていた。

今日もお互い休みだったので例外なく放課後二人でぶらついて、丸井行きつけのケーキがおいしい喫茶店へいって、普段通りくだらないことばかり話していたときだった。
ふと思い出したように言った丸井に思考が固まった。






「ちょ、まじ?」


「まじまじおーまじ」


「今までつくらなかったじゃん」


「まあなー」


「ふーん・・・・・・」


「なに? もしかして嫉妬?」


「はー? 意味わかんな。あたしだってすぐ彼氏つくるし」


「苗字には無理だって」


「うざー!」






最初に感じたなにかはすぐに消え、親友に彼女ができた嬉しさと、それから少しの寂しさを感じた。



















「ブン太〜」


「おー」





例の彼女じゃ




仁王があたしに耳打ちをして、あぁあの子が、と理解。


小さくてふわふわしてて可愛くて、あたしとは正反対。


なるほど、丸井はああいう子が好きなのね。






「苗字」


「ん?」


「明日さー遊ぶはずだったじゃん」


「うん」


「わりーんだけど、あいつも部活休みみたいで・・・・・・」


「あ、」





そうか、と今やっとわかった。


丸井に彼女ができたってことは二人で遊ぶことが少なくなって、もちろん女の子で一番丸井と過ごす時間が長いのはあの子になって、


そうか。


丸井の一番はあの子。


当たり前なことなのに、なんだかようやく今実感したみたいな・・・・・・







「うん、わかった! 彼女といちゃいちゃしてきなよ!」


「おーさんきゅ! また今度埋め合わせするからよ!」






彼女のほうへ走っていく丸井が、遠く感じた。









「・・・・・・いた」






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