恋人同士が寄り添いあまーい空気漂わせながら愛を深めるX'masだって私達中学三年生、つまりは受験生には関係のないことなのだ。
「なー名前」
「ユウジ、しー」
「そんな頑張らんでエエやん」
「そりゃユウジは受験勉強しなくてもいいかもしんないけどねー」
ぶすりとしたユウジの顔をシャーペンの先(もちろん尖ってる方)でつついてやれば、X'masに出かけられないとか……と嘆いていた眉間の皺はさらに深くなった。
「外受けんでそんまま四天いったらええやろ」
「なぁに応援してくれてたんじゃないの」
外部を受ける
そういったときのユウジの反応は今思い出しても笑える。
はぁ!?おま、お前アホか!俺は許さんでそんなん!ド突くぞ!
顔を歪めながら肩を揺さぶられてムカついたから蹴り飛ばしたんだっけ、
でも夢とかそのためには四天じゃだめなのだと言いくるめれば、結局最後は
応援するから頑張れ
と嫌な顔をしつつも言ってくれたのだ。
「あー……すまん、なんでもない」
どうやらユウジは『邪魔しない応援する』と決めたものの、たまにあからさまに態度に(てか口に)出てしまうことを自分でもわかっているようで、いつも言った後に今みたいな顔をする。
「……ごめんね、ユウジ」
「あ?」
「遊びたいよね。あたしが勝手なことしてユウジの行動制御しちゃってる、から」
自分で言うのもあれだが、ユウジにかなり愛されてる自信がある。だから、あたしが必死こいて勉強してるときにユウジが一人他の人と遊びに行くなんてことしないのは予想がつく。
「アホ」
「うん」
「お前かて俺が部活で必死こいてる間ずっと応援してたやろ」
「……うん」
「俺にもそんくらいさせろや」
「、ありがと」
ぐい、と頭がユウジの肩に導かれる。逆らうことなくぽすりと埋めれば髪をすく指先。
あぁ、幸せ。
そう思いながら出会ったころのことを思い出していた。ユウジからこんなことするなんてそのときは考えもしなかったし、ほんとにホモだと思ってたし。ずいぶんとイメージが変わったものだ、と一人くすりと笑った。
「……なぁ、」
「ん?」
「クリスマスくらい息抜きしてもええんちゃう。根詰めすぎても身体に毒やで」
「とか言って、構ってほしいだけだったりして」
「アホボケ泣かすど」
「ユウジ可愛い」
「っ、お前やろ」
端から見ればバカップルみたいな会話だって、ユウジとなら恥ずかしくない。
早く受験受かって、愛しのダーリンに構ってあげよう。
彼の手を左に、シャーペンを右に握りながら誓った、
そんな中3のクリスマス。
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2010.12.25.
メリークリスマス!
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頑張れ!受験生!