・過去系にしたい→壁を壊したいの続編です







「一護!遊園地行きたい!」
「遊ぼうよー」
「一護大好きー!」





時とともに人は成長する。成長とともに得るものと失うものがある。
















「、ぅ……かはっ」

「うまそうな女だァ。黒崎一護を喰ってからゆっくり喰ってやるから待ってなァ」




いつも通りの帰り道だった。前は一護と一緒に帰っていたが、一人で帰る放課後にももうなれてしまった。あの日からあたしと一護は関わらなくなった。一護は話そうとしてくれるのだが、あたしが一方的に避けている。
一緒に帰る友達がいないわけでもないが、帰りは一人がいいと思った。今日だっていつも通り、一人で帰っていたんだ。




なのになんだこいつ、




いきなり寒気がしたと思ったら次の瞬間にはもう壁に打ち付けられていた。痛い。衝撃で一瞬息が止まったがなんとかもちかえす。なに、顔をあげて驚いた。人間のようで、決して人間ではないそれがあたしをギロリと睨み、そしてにやりと笑ったのだった。









「おい。そろそろ吐けよォ、黒崎一護はどこだ」

「だから……知ら、ない」

「チッ まぁいいやそろそろ来るだろうしなァ、ヒャハハハハ」



一体何が面白いんだ。あの後も吹っ飛ばされたりしたけどこいつが何度も繰り返す同じ質問に答えはしない。というより答えられないのだ、知らないのだから。だいたい一護がくる、とこいつは言うが来るはずがない。多分こいつと一護はなにか関係があるんだろうが、あたしは一護を避けまくったんだから一護は助けに来ない。助けになど、来ないのだ。




「ちょーっと失礼ィ」

「ぐ、ぁぁっ」




手が大きく変形しその手によって体全体を掴まれ、圧迫される。足が宙に浮き、いよいよ目の前が霞みはじめた。




「グァァァァ!!」




突然叫んだと思うと少し圧迫が緩くなり息を思い切り吸い込む。あぶな……死ぬとこだった。



「そいつを離せ」




ゲホゲホとむせていると、聞き慣れた声が聞こえた。いや、そんな、まさか




「いち、ご」

「ようやく来たか黒崎一護!」




紛れもなく、一護だった。いつもと違う服装だったり、刀をもってたりしたけど、そんなんどうだってよかった。




「……なんで」




こちらを見る一護。なんで来たの、なんで、






「なんだよ助けに来てやったってのにその顔は。言いたいことあんなら言ってみろ」




そういった一護はいつもとなんら変わりなかった。あんだけあたし避けたのに、なんで




「いっつもそうだ。お前は俺に何も言わない」

「……」

「お前もっと我が儘だっただろ!いつからそんな遠慮なんて覚えたんだ!」

「な…」

「言いたいことあんなら言えよ!もっと我が儘言えよ!」

「……か、じゃないの」

「あ?」

「馬鹿じゃないの!?何も言ってくれなかったのは一護じゃん!最初に壁つくったのは一護でしょ!?」

「……あぁ、そうだな」




そうだ、もとはといえば一護から壁をつくったんだ。きっとあたしに隠してたことはこれ。でもだからなんだと言うんだ。こんなもの、人間ではないものと戦ってる、普通にそう言ってくれればよかったじゃないか。




「っざけんな」


「……」


「助けて」


「え、」






伏せていた目を上げてあたしを見る一護。言いたいことなんて、ないわけないじゃない、






「助けてよ!一人にしないで!」

「っ」



「一人は寂しいよ……一護」





そうあたしが言った瞬間、一瞬の浮遊感の後ふわりと暖かいものに包まれた。




「ギ、グアァァァァア!!」




さっきまであたしを掴んでいたそれが倒れるのが見えた。何、がおきた?




「名前」




耳元で聞こえた声に温もりの正体を悟る。




「助けてくれた……」




顔をあげ近距離にある一護の顔を見る。その顔つきはしっかりとしていて、それでいて優しかった。




「わりぃ名前。結局巻き込んじまった」

「ううん……助けてくれたからいい。それに何も教えられないよりこっちのほうがいいよ」

「俺も、何にも言われないで避けられるのは辛え」

「……うん、ごめん」

「これからは絶対守るから」



だから、傍にいてくんねぇか?





ぶっこわす


壁、崩壊しました

また我が儘になるけどいいの?
そっちのが名前らしくていい。
じゃあさ、あたしのこと好きになって。
……もとから好きだ馬鹿


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