「……というわけなんだよリサ」
「そんなん言われても惚気にしか聞こえんわ」
今の相談のどこに惚気があったんだと言うとリサははぁと溜息をついた。幸せ逃げるよー
「で?なんやったっけ? あほらしゅうて内容忘れてもうたわ」
「だぁーかぁーらぁー!」
あたしの悩みは一応彼氏(あたしはそう思ってる)である真子についてだ。
あたしから告白してまさかのOKで付き合ったはいいけど、真子は何考えてるかわかんないし構ってくんないし何これ友達?むしろ知り合い!?
いちゃいちゃなんて言葉はあたしたちには無縁で、街でリア充を見つける度に「爆発しろ!」と心の中で叫ぶ可哀相なあたし。
で、あたしには構ってくれないくせにひよ里には構うんだからそりゃポジティブシンキングいぇい!なあたしでも凹むってもんで、
「どう思う?」
「はぁ、だから惚気にしか聞こえんて。むしろあんたらが爆発したらええんに」
「なんでよ!」
「あんたが知らんだけでなぁ」
「なに、」
「……やっぱ言わんどこ」
「ちょ、気になるんだけど!」
「やかましい。つまりなんや、あんたは真子の愛を確認したいと、」
「うん」
「ふーん……ええこと思いついたから可愛ええ名前ちゃんのために一肌脱いだるわ」
にやりという笑みに気付かず、おいでおいでと手招きするリサに耳を貸す。
「……へ、そんなこと?」
「そんなことて…あんたほんまわかっとらんなぁ」
「え、何が?」
「……真子も大変やな」
次の日、リサに言われた作戦を早速実行に移すべくリサに借りた制服を着て高校へ。
「名前?」
「一護!」
リサの作戦はこうだ。
真子の前で一護と話す(ボティタッチ多めで)
リサ曰く()内が重要らしいんだけど一護とはいつも話してるからちょっとボティタッチ多めにしたくらいで真子が妬くことはないと思う。やべぇ自分で言ってて虚しいんだけど。
「お前その格好…」
「へっへーリサに借りたんだ!似合う??」
「おー似合う似合う」
「ちょ、頭撫でんな!妹扱いすんな!」校門のところで話してれば真子が来るはずだからそれまでは普通に話して、真子が来たところで作戦実行!
「いーだろ妹みたいなもんだし」
「妹じゃない!お姉様と呼びなさい!」
「そーゆーとこがガキだろーが!」
「やかましいで自分ら」
「わ!真子!」
一護と言い争っているといつの間にかいた真子に頭をど突かれた。
「いたいなぁー」
「そんな強くやってへんやろ」
「ふーんいいもん!お兄ちゃーん真子が叩いたー!」
忘れないうちに作戦を実行すべく一護の腕に手をかける。ん?これでいいのかリサ、あたし合ってんのかこれで。
「お前なぁ、こういうときだけお兄ちゃんかよ」
「うん」
「はぁ…」
どうなんだこれで真子は妬くのか?と真子を見ると案の定普段通り。ちくしょーなんだよ、意味ないじゃんか
もう止めだ、止め。考えてくれたリサには悪いけど、中止。こんなん自分が虚しくなるだけだ。
そんなあたしの不のオーラに気づいたのか、顔を覗き込んで来る一護と目が会う。にこり、そんな効果音がつきそうな一護の笑顔にホントのお兄ちゃんにしたいなぁーなんて考える。
「あ、名前今日ウチ来いよ。なんか夏梨が渡したいもんがあるらしいんだ」
「え、ほんと?いくい「すまんなぁ一護。今日はコイツ先約があんねん」
「え?ちょ、真子」
ほな、とあたしの手を掴んで歩きはじめる真子。掴まれた手が、痛い。
「い…た、痛い。真子痛い!」
やっと声が出せたのは学校から離れた路地。あたしの声に足を止めた真子は振り向いた。
「……なんなん自分」
「な、にが」
「どういうつもりや言うてんねん!」
壁に追い詰められる。左右に手をおかれ逃げ場を失われた。
「真子、」
「一護に頭撫でられたり、腕絡ませたり上目遣いやったり挙げ句家に行くて?あほちゃうん」
やってられんわ、と言う真子に苛立ちが募る。なにそれ、
「…なにそれ」
「あ?」
「いつもは放置なくせになにそれ!上目遣いなんてしてないし頭撫でられんのも腕絡ませんのも家に行くのもあたしの勝手じゃん!」
「…ほんまムカつく。一護のこと好きなん?一護と付き合いたいんちゃうんか?」
「なんでそーなんの!」
「男ん家行くっちゅーことはそーいうことや」
「違う!」
「お前がちゃうくても一護はそうかもしれんやろ!襲われたら抵抗できんやろーが!」
「できるし!」
「じゃあやってみい」
顔を両手に挟まれキスをされた。手で肩を押すがびくともせずあたしの体力だけが消えていく。
「…ン……っ」
苦しくて真子の肩をどんどんと叩くが放してくれず、遂には手を掴まれて抵抗できなくなる。
「んぅ…!……」
本当に苦しくて頭がボーッとしてくる。生理的な涙がこぼれた。
あたしが泣いているのに気づいてか、少し息を切らした真子が離れる。
「ふぅ、」
「はっ……はぁ」
そんな真子とは対照的に肩で息をするあたし。
「ほれ、抵抗できんやんけ」
「っは…はぁ……ごめんなさい……」
「……」
ぎゅ、と体にぬくもり。真子の息が耳にかかり抱きしめられていることを理解した。
「真、」
「謝るんは俺んほうや、すまん」
首に顔を埋められ、頬に触れる真子の髪がくすぐったい。
「構って!って言う名前が可愛いくて放置しすぎた。ホントは前から他の男と話すだけで腹ん中煮え繰り返ってたんやで?」
「え、」
「もう放置せんで嫌ゆうほど構ったるから」
覚悟せぇよ、
こつんと合わせた額から熱が伝わる。なーんだ、あたしちゃんと愛されてんじゃん。
「真子」
「ん?」
「好き」
「あほ。俺んほうが倍好きやっちゅーねん」
くすりと笑い合って、またキスをした。
「リサ」
「ん?あ…真子」
「なんやおもしろがって名前にいらんこと吹き込んだらしいなぁ」
「ええやん、あたしのおかげで仲が深まったやろ?あっつーいキスなんてして、」
「……お前見とったんか」
「ばっちしビデオにも納めたで!……あ」
「ふーん……」
「あたしのビデオ!聖書!」
「エロ本やろ!しっかり反省せい!」
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リサが見てましたっていうオチ(オチてない)
なんか真子夢はリサがでばる。好きだからしょうがない。
そして毎度のことながらエセ関西弁。申し訳ない。