紅花の咲く景色 | ナノ
白波に身を浸し
夏と言えども、地球温暖化の煽りを受けて海水浴場は人がごった返していた。
「やっぱり多いね。日焼け止め塗ってきて良かったわ〜。」
「満、腹白いな。」
「グーではたくわよ。気にしてるんだから。」
パレオビキニで、惜しげもなく引き締まった肉体の線を見せている。
足が満としては、筋肉質になってしまったのでパレオを付けている。年頃の女の子には、重大な問題だ。先ずは泳ごう、となったがお互いに負けず嫌い。自然と競争になっていた。
「ぷはっ!赤也速い!置いていく気?」
「満スポーツ万能じゃねぇの?」
「そんな都合のいい事あるもんですか。水泳は人並みよ。それに泳ぐのに向いてる水着じゃないわ。」
唇をとがらせ、むくれる満だが赤也には可愛くしか見えない。フィルター加工済みとも言える。
「あ、パレオ付けてたな。ちょっと遅い昼飯食って、のんびりしたい?」
「食べてないからお腹空いたし賛成。もう競争にしないでよ?」
「俺満おんぶしてみたい。ダメ?やった事ないし。軽いから。」
「足が付くまでよ。」
素晴らしいぐらいにイチャイチャバカップル。海の家でも、向かい合わず隣に座って食べていた。
しかし満はかなり目敏い。青学の見た事のある人間を見つけたのだ。
「…赤也。見覚えのある、確か青学の菊丸さん?が見えた。」
「こーゆー時満の視力便利だよな。なんでいんだよぶっ潰してぇ。邪魔されるとか最悪。」
「まぁ、見間違いかも知れないけど鉢合わせしないようにしたいわね。赤也、フランクフルト残りあげる。メロンのかき氷溶けちゃうから。」
露骨に顔をしかめた赤也を宥め、満はカップルばかりが集まると事前に柳から聞いていた場所を提案した。赤也はあっさり頷いて、そこで遊んでから帰ろうと決めた。
立海は昼から休みだったので、かなり慌ただしいのだが中学生はパワフルだ。
「赤也ってジンクスは信じるの?あ、良くない事が起きるお約束って意味。」
「二度ある事は三度あるとかそんなん?」
「うん。日本語だと意味がちょっと変わるし、三度目の正直とかあるけど。」
「あんま無い。」
ベタベタイチャイチャしているカップルの集まる場所だと、流血カップルも違和感が無い。日焼け止めを塗り直しながら、他愛のないおしゃべりをしていた。
「あの人達、今頃逆ナンの嵐でしょうねぇ。」
「あーありそう。仁王先輩とか去年散々だったらしいぜ。」
「…今更だけど跡部さんに相談したらプライベートビーチ持ってたかも。テニスコート持ってるぐらいだし?」
そうすれば良かった、と後悔する赤也だった。
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