紅花の咲く景色 | ナノ
手招く先は


昼休みは、イチャイチャしている流血カップル。金曜は、3年レギュラーの安息日に近い。
あてられそうなぐらいいちゃつくからだ。だが、平和が一番。

「そう言えば柳先輩。幼なじみの乾さんでしたっけ?なんだか私の事を調べようとしてるらしいです。」

野菜ジュースを飲んでいた仁王が思い切り咽せた。らしいって重要な事を、何故緊張感無く言えるのだ。

「大丈夫ですか?仁王君。赤城さんも危機感を持って頂けますか?」

「いや、その必要は無い。どう足掻いても、赤城を評判で判断する事は貞治には不可能だ。」

だって自分も出来なかったから。と言う本音がある。満ははっきり言って、掴みどころが無い。
素直なようで策士、策かと思えば本心だったなど、本人に聞かなければ解らない事が多々あるのだ。

「うむ…氷帝辺りも未だに警戒しておる。注意は必要だろう。」

「満フツーにしてればなんもしないのにな。」

「あら、起こしちゃった?いつもはなかなか起きないクセに。」

膝枕で寝ていた赤也が、満を見上げる。暑くて目覚めたのだ。

「だって日陰仁王先輩が占領しててあっつい。あ、海行かねえ?満水泳もそこそこじゃん。」

「競争はしないわよ。でも海か。いいかも。」

ラブラブバカップルと化した2人に、冷静なツッコミが入った。
幸村以外出来ない真似だ。

「はーいそこのバカップル対策会議するからいちゃつかないで。先ずは赤城さんから青学を守らなきゃいけないよね。キレた赤城さんに腕切られたら試合もへったくれも無いし。」

「あ、それはカバーする…ジャッカルが!」

「丸井、お前もな。2人してキレられたら押さえられねえよ。赤城が本気になったら見えない速さで駆け抜けるぞ。」

呆れ気味に、現実を直視するジャッカル。苦労人は最近、胃薬を使うようになっていた。

「第一、私を調べて何が楽しいのですか?ただの救護要員でプレイヤーですらないですよ。」

「どの口がただの救護要員言うんじゃ。俺らより短距離速いじゃろ。」

「まぁとりあえず、跡部にメールしとくからあっちにも頼まなきゃ。青学と試合出来ないのは氷帝も困る訳だし。みんなもメアド交換してる氷帝メンバーにしといてね。」

つまり。流血カップルが居る所であれこれ相談出来ないのだ。金曜を待つしか無いのである。

「無謀と言うか命知らずとは貞治だな。あの使えないマネージャーを連れて来ておきながら面の皮まで分厚い。」

「ホント使えない人だったんですね。どんな視神経持ってるのでしょう。」

かなり、青学には恨みがある立海と氷帝。

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