紅花の咲く景色 | ナノ
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休み時間、いつも赤也といちゃついている訳では無いのだがそんな印象を与えている。人並みにトイレに行ったりするのだが。

「赤也、私御手洗いに行くから制服から手を放して。真田先輩のとこにでも行ってらっしゃい?」

「うん。後で3人の化け物倒す手段教えて?」

「私は騙し討ちが得意なのよ?仁王先輩と特訓でもしてらっしゃい。」

「俺が練習台になるって満言ってたじゃん。」

むくれる赤也に手を振りながら、満はトイレに向かった。

「赤城さん、返事書いたよ〜。可愛いでしょ?」

「あ、ハートだ。折り方教えてね?」

廊下で、手紙を女子生徒同士交換。成績優秀な、テニス部とも仲のいい満に聞き出したい!と以前からあった光景だ。
トイレで手紙を確認し、満は笑みを浮かべた。分かり易すぎる行動パターンに、信用しきっていないが推測は出来る事なのだ。

「鳴かぬなら、鳴かせてみしょう不如帰。」

「あの3年生切原君狙いだってさ。バカだよねー赤城さんとラブラブなのに。しかもストーカーのニュース知らないとか有り得ないって。全国ニュースだったじゃん。」

「忘れてんじゃない?化粧濃いし真田先輩に注意されてたもん。」

キーワードを呟く満。ここにいる、と教えるのだ。女の子の噂は流れる事が速いので、情報収集が得意な女子生徒は伝える。

「明日の放課後屋上ってどこの屋上よ!何年前の風習なのコレ!?馬鹿馬鹿しいなぁ…。行かなきゃ。」

「駒鳥300飛べる。」

「上は止めとく?」

机に入れられたカミソリレター。ツッコミを入れつつ伝達する事が、満の狙い。女子トイレだからこそ出来る事もある。
柳が躍起になっても、掴めない理由はここだ。内通者が居たとしても、満は前提で動いているし有事にしか動かさない。

「1組の子に手紙書いてなかったから書くよ。」

「あ、じゃああたし1年生に返事書かなきゃ。丸井先輩の話聞いたし。」

満と2人の女子生徒間で、伝達ルートを決める。試運転でもあるから、かなりアバウトだ。
利害が一致していれば満は遠慮なく使っていく。怖いから、従う生徒は居ないのだ。噂は流させているし、煙を多少見せなければ怪しまれる。
3月からだから、ストーカー撃退事件は本気で怖がられているが。教室に戻り、授業の支度をする。

「柳先輩、ホント上手いなぁ…。囲碁の指導厳しいし難しいよ。」

「満、囲碁習ってんの?」

「うん。将棋は勝率67%まで上がったから。」

「すげっ。真田副部長負けっぱなしって聞いた。」

満の小さな積み重ねによって、ある程度立海は平和なのだ。

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