紅花の咲く景色 | ナノ
たゆまぬ努力


魔の金曜日。昼休みは以前別々に過ごしていた流血カップルだが、赤也と過ごすようになってからいちゃつき具合が増していた。

「赤也、重いよ。」

「だって満金曜昼休み保健室じゃん…充電。」

椅子に座る満に、子供のように抱き付く赤也。
クラスメートは見慣れた光景で、よくそこまでイチャイチャ出来るな。とすら思わないいつもの事。

「赤也はいつから電気で動くようになったのよ。私は発電機扱い?」

「満いないと寂しいし。」

お母さんと駄々っ子か。とたまにツッコミたくなるのだが、邪魔をすると2人共機嫌を悪くしそうで怖いのだ。
満はその程度ではならないが、赤也は違う。委員長すら話し掛け難い。

「元々昼休みの保健室なんて滅多に怪我人来ないんだから、赤也も保健室で食べれば?」

「あ、それいいな。今度そうしよ。今日丸井先輩に呼ばれてっし。」

満が怖いから保健室には近寄りたくない、という善良な生徒達の予想を越えた。余計に行きたくない。人目をはばからず、教室でもイチャイチャしているのだから。
2人にしたら邪魔以外の何者でもない。

「丸井先輩が?何か新発売のお菓子で苦手だったの押し付けられるんじゃない?この前も唐辛子の押し付けられてたし。」

「わさび味だったらいいな。」

「よくまぁ大量に食べられるわね。それでニキビ出来ないとか腹立つわ。」

「満も無いじゃん。」

「私も努力してるの。ビタミン豊富な野菜食べるとか洗顔してから化粧水とか気にするの。日焼けでお肌ボロボロとか笑えないのよ。初日痛いぐらい日焼けしたんだから。」

「仁王先輩より白いのってもしかして日焼け止め使ってんの?」

「当たり前よ。小学生からずっと使ってるわ。汗で落ちるから塗り直しもするの。」

赤也が満の頬を撫でるが、すべすべなのはそういった努力の結果だ。知識はそれなりにあるから、早めに対策をしている。
…この2人は休み時間だと覚えているのだろうか。

「満体力付いたし、体育引っ張ってっからなぁ。瞬発力ぶっちぎりだったけど他も俺とか基準にすんなよ?満基準は絶対ダメ。」

「この前のバスケ?男子もぐったりしてたよね。」

「満がリストバンド付けたままやってたからつい俺がムキになった。」

「赤也が原因じゃない?」

「満に負けたくない。体育だけは!」

イチャイチャし続ける流血カップル。
3年は卒業するが、2年と1年はまた来年も見る羽目になりそうだ。クラスが別れたらどうなるのか、予想も出来ない。付き合いを始めてから、休み時間にはよくある。

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