紅花の咲く景色 | ナノ
肌で感じる不機嫌


赤也の希望と、腕の動きを抑えられる事で満はリストバンドを、入れられる最高の重さまで鉛の板を入れて生活するようになった。レギュラーも少しは心痛が和らぐ。
今日は他校との練習試合で午後はオフ。赤也が部室で携帯を見た瞬間、表情が無くなり携帯を持つ手が震えた。

「どうかしたか?赤也。」

「いや、満から今メールが来たンスよ。今満、走って学校通ってるから前より遅いンスけど…ほら。」

赤也が丸井に見せたメールの内容は、もうすぐ着くよといったような内容。絵文字や顔文字を使っていて女の子らしいものだ。

「フツーのメールに見えるぞ?女の子っぽい。」

「満は基本短文で絵文字とか機嫌悪くないと使わないンスよ!誰だよ満の機嫌悪くしたの!遊びに行く予定だったのに!」

じたばた出来たならしていたであろう赤也。機嫌の悪い満は赤也も苦手なのだ。こまめにメールをしているから解る。

「ゴメン赤也、犯人俺かも知れない。」

「幸村部長ぉぉお!?満が機嫌悪いの怖いって言ったッスよね!?部活どうするンスか!?」

プレッシャーが3割増す。怪我にケチをつける。本当に、機嫌の悪い満は物騒なのだ。

「そういや今日焼き肉行くんじゃなかったか?」

ジャッカルの一言に、赤也は携帯目掛けて叫んだ。恥も外聞もあったものではない。切実だ。

「うわぁぁぁゴメン忘れてた満!頼むから別れるとか言うなよ!マジ大好きだから!」

「赤城さん本人に言うべきでしょう…。」

「つーか、赤也が焼き肉行かんってアリじゃろ。機嫌直るか分からんけん。」

「赤城さん焼き肉参加は止めてね?消毒薬臭くて病院思い出すから。」

入院中ではなく、退院後に勃発した神の子VS変態。無論本格的に戦えば満が勝つのだが、周りが苦労するのだ。

「ど、どうしたら機嫌直してくれるッスか?」

助けて下さい人生の先輩。と言わんばかりに赤也は三年を見た。

「即物的に派手な怪我か?すまないな、そこまで赤城のデータは集まっていないから俺も聞きたい。」

「赤也は何度か態とらしく怪我をしただろう。」

「頭いいから同じ手はあんま利かないッス…。」

ああでも無い、こうでも無いと話した結果。赤也は涙を呑んで焼き肉を断念する事にした。
平部員に、お願いだから満のプレッシャーを何とかしてくれ!と頼まれていたが出来るはずも無く。しかしやり遂げるのだから、王者立海はメンタル面で強くなる。
柳生やジャッカルは胃痛に襲われていたが。

「満、今日飯食いに行っていい?」

「うん。お母さんが当番で良ければ。」

- 52 -


[*前] | [次#]
ページ:






メイン
トップへ