紅花の咲く景色 | ナノ
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テストの返却が始まり、2年D組は英語のテストが配布された。赤也にしては素晴らしい進歩の点数。

「満!有難う!赤点じゃなかった…!64点!」

ひしっ!と抱き付いた赤也だが、満の声音は震えていた。どっちの意味でも。

「それは良かったわね。でもそんな点数なんて…私達もうおしまいね。」

満は目頭を押さえて俯くと呟いた。あれだけ教えて64点なんて泣けてしまう。私の努力返せ。満の本心など、この程度だ。

「は!?何で!?」

「だって同じ勉強した私が98点だったのよ…?」

ポタリ、と涙が落ちる。それぐらい、満は赤也の勉強に付き合ったのだ。泣けてくる点数に思えるが、満は学年首席。
基準が厳しいのもある。

「泣くとこそこ!?」

「それになし崩しでテニス部のマネージャーみたいな事やらされたり走らされたり…ごめんなさい、私もう疲れたの。」

教室で昼メロか。とクラスメートはいい迷惑だ。満はしばしば、赤也で遊んでいる。

「掛け合うから!幸村部長に頼むから!満と別れたくないっ!」

そして窓を開けているので3年のクラスまで、赤也の悲鳴は聞こえていた。
自習をしているB組。

「…赤也は相変わらず赤城にベタ惚れぜよ。」

「3年のクラスまで聞こえるとか恥ずかしくないのかあいつ。」

「必死なんじゃろ。とんでもない流血サラブレッドが楽しみナリ。」

「仁王も楽しそうだな。俺怖いぞフツーに。赤城もよく洒落になんない事言って赤也焦らせるし。」

すっかり慣れて呆れるぐらいに、テニス部ではスルーされる。喧嘩は毎回仲裁が大変なのだが。
クラスは変わって休み時間のA組。

「切原君、また盛大に恥ずかしげもなく叫んでいますね。」

「昼休みにはまた赤也が張り付いて離れんだろう。幸村は笑いそうだな。赤也はともかく、赤城がな。」

「真田君、最近切原君に冷たくなりましたね。」

「最凶の赤城に何を言えようか。」

「漢字が強いでは無い事はよく解ります。日本一敵に回したくない後輩ですからね。」

幸村は泣きそうになるまで笑いを堪え、ジャッカルは呆れ返り、柳はバリエーション豊かな満の赤也遊びをノートに書き綴った。
最早立海名物となったこの2人のやり取り、中学校で知らない者は居ない程有名だ。赤也が満を心底好いている事は、噂にすらならない。
赤也と満を題材に、本気で昼メロを考えるクラスメートも居るようだ。影があるにせよ何だかんだで、立海は平和なのである。

「満、あーん。」

「ん。」

真田の言う通り、昼休みはイチャイチャしていた。

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