紅花の咲く景色 | ナノ
朱が演じる場


翌日、青学マネージャーが内心怒り狂うまでに満は氷帝や立海メンバーにこれでもかと構われた。しかし、赤也と付き合っている事は流したのでますます混乱に陥っていた。
揺るがない事実だが、そう考えると氷帝メンバーが満を構う理由が一つにしか思えない年頃の女の子だ。

「なぁ赤城さん、オカン医者なんやろ?医者の子供同士色々話さへん?」

「そうですけど、赤也がヤキモチ妬いちゃいますからご遠慮します。氷帝はお金持ちの綺麗なお嬢様がたくさんいらっしゃるでしょう?はい、手当て完了しました。」

「解っとらんなぁ、氷帝はお上品すぎんねん。その点自分は冗談も笑てくれるしノリえぇやん。また怪我しよったらよろしくな。」

「気を付けて下さいよ?忍足さん。宍戸さんにもお伝え願えます?行ったり来たりで忙しいですし。」

氷帝の天才とも仲良そうな会話をする姿が多々あり。鳳や樺地はドリンク運びを手伝っていた。…この2人は跡部の命と、単に優しい人であるだけだが。

「幸村先輩!休憩です!」

「あ、もうそんな時間?有難う赤城さん。」

マネージャーには目もくれない幸村は、満に柔らかい笑みを向ける。赤也はラケットを持ったまま、満の手を引いて走り出す。

「満ー!ドリンク一緒に取りに行こうぜ!」

「痛い痛い!引っ張らないで赤也!」

そしてそれが当たり前のように呆れる真田や、茶化す仁王など温かく見守る三年レギュラー。真田はやり過ぎじゃないか、と呆れているのだが合いすぎた偶然。仁王はノリノリで遊んでいるだけだ。
誤解させるには充分すぎる材料を与えて、満達は駒を進める。
当然だがトラブルシューティングも万全を期す。立海の頭脳と悪魔も騙す詐欺師そして完全犯罪にしてこそやりがいがある、と言う鉄則の下生まれ育った満。

「ねぇ、切原君。私も赤也君って呼んでいい?」

「アンタ暇人だな。こんなんじゃ手塚さんだっけ?あの人も真田副部長が言うような人じゃなさそー。どーなンスか?幸村部長。」

「さぁね…赤也、ランニング行っておいで?無駄口叩く暇があったら走る。」

「ウゲッ!行ってきまーす!」

冷めた目をマネージャーに向けた赤也だが、幸村に言われた瞬間豹変してランニングへと向かった。それもまた、仁王の詐欺であり柳の策であり満の舞台を整える場だ。
立海は実に絶妙なバランスで作り上げていて、氷帝は個性を跡部が上手く動かしていた。満と柳が予測している事態も、互いに利用しあっている恐ろしい状況。

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