紅花の咲く景色 | ナノ
朱が見えぬうちに


翌日昼から、満は跡部の権力をフル活用したヘリに乗せられてやって来た。
名目は青学マネージャー1人で三校を支えるのは無理だろうから、立海で手伝っている満を呼んだ。と青学レギュラーも納得させた跡部の説明。
伊達に一年から生徒会長やっていない。

「氷帝の皆さんはお久しぶりです。青学の皆さんははじめまして。立海二年、赤城満です。主に立海と氷帝の皆さんのサポートをさせて頂きます。部外者で中途参加ですが、精一杯務めさせて頂きます。宜しくお願いします。」

跡部作成原稿をスラスラ言って、柳からドリンクのレシピを受け取ると作業に入った。学年首席を甘く見て貰っては困る。
ちなみに氷帝と立海だけなのは不味いドリンクは青学だけ飲め!と言う私怨だ。

「はじめましてぇ。私は青学マネージャーだから宜しくね?」

「赤城さん!仁王君が怪我をしてしまったので手当てをお願いします!」

「今行きます!すいませんお話は後程。」

殆ど近付けなかった仁王や柳生の傍にあっさり近寄れる満に、嫉妬の炎を燃やす青学マネージャー。加えて氷帝からも呼ばれ、ちょろちょろと動き回るので捕まらない。
現場を見せる事は難しいので、満が氷帝にも立海にも居ない時を見計らって策を巡らす他、道は無かった。まずは青学レギュラーから反感を持たせる。そこから突き崩す。
満が策士である事を知らないから無茶な企画を立てるのだろう。

「…仁王先輩、とりあえず手のひらの血肉刺が潰れている事にしますね。」

「おぅ。出来るだけ青学マネージャーには近付かんでくれ。俺らも色々理由作って呼ぶけぇ。」

「善処します。ただ、一つお願いがあります。詐欺師のお力添えを。赤也と幸村先輩のメールを見る限り、あの方は何かしら手を打つでしょう。」

手当てのような事をしながら密談。しかし、事情を知るメンバーはいつもより手当てが遅い事を見逃す。状況が状況なのだ。

「そうじゃな。赤城が赤也と付き合っとる事は流しとくナリ。」

「後は、無意味にスキンシップを増やせる方はお願いします。頭を撫でたり、ドリンク運びを手伝って下されば。流石に抱き付くのは赤也だけですが。」

「青学を孤立させるのか。些か汚い手だが、立海ならよくある事だとしておけば問題ないな。」

参謀、詐欺師、殺人鬼。愚鈍どころか二枚も三枚も上手の3人が集まれば、堅実かつ不自然には到底見えない策が出来上がる。
更に、防衛ラインとして良心的な者さえ満を庇う。

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