紅花の咲く景色 | ナノ
我慢の限界
レギュラー達は氷帝、青学との合同合宿へと向かったのだが。唯一のマネージャーである、青学の女子生徒がこれでもかと言うほど使えなかった。
「お疲れ様です、ドリンクどうぞ〜。」
「あ、悪いな。」
大体取りに行くのは、温厚な苦労人ジャッカルだ。幸村、仁王、丸井、柳生は人気が高い事と明らかに青学マネージャーが狙っている事を察した柳が禁止した。赤也は手が出そうなので絶対に近付かない。
よってジャッカル、真田、柳の3人が一度に取りに行く。青学レギュラーは骨抜きに近いが、氷帝メンバーも頭を抱えていた。毎回樺地に行かせる訳にはいかない。
「…真田副部長〜水飲んできていいッスか?」
一体何をどうしたらここまで不味いドリンクになるのか?と柳すら真面目に考えたくなる。水の方が遥かにマシに思えるのだ。
立海は柳監修でオリジナルだからと言う理由もある。
「俺も水飲みに行きたい。香水臭さがボトルに付くってどんな事すんだよ!」
正直者の赤也と丸井が音を上げた。1日目以降、練習は水で乗り越えている。
「幸村、ちょっといいか?相談がある。」
「あれ、跡部。どうかした?」
豪華絢爛、と言われる程イケメン揃いの氷帝から、女特有の陰湿な嫌がらせなどに耐えきれる猛者は知り合いに居ない。最終手段に出る事にしたのだ。あのプライドの化身とも言える跡部率いる氷帝メンバーが、直に頼みに来た。
「頼む、最後の手段だが赤城を呼んでくれ…!交通費その他は俺が持つ。部屋も別で、雑魚からは出来るだけ遠ざける協力もする。赤城しか頼れねぇんだ!あいつに勝てる女は居ねえだろう。あの特技に纏わる事も口外させない!頼む!」
「え!?満呼ぶンスか?マジ嬉しいッス!」
赤也は心底嬉しそうだが、満の気性及び特技や嗜好を全く考えていない。三年レギュラーと氷帝メンバーは切実な問題に直面する事になるのだ。
「赤城さんやったらあのファンクラブから来ましたみたいな青学マネージャー敵わんやろうけど、流血沙汰から俺らも頑張って回避させるさかい!ホンマ頼むわ!不味いんやもん!」
流石はブルジョア学校、その辺りも舌は肥えているようだ。
「万年筆でストーカーを撃退した話はともかく、出来るだけ僕達もフォローします!こんなところまで来てあんな目に遭いたくないんです!」
色目を散々使われ、集中出来る筈の合宿でも妨害されるのは敵わない。
氷帝メンバーも苦渋の決断だ。日本一怖い女子中学生だとすら考える満を呼ぶのだから。
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