紅花の咲く景色 | ナノ
正しい反応


昼休み、ただひたすらにいちゃつく流血カップル。金曜日はその光景が無いので三年レギュラーは一息つける。赤也は寂しそうだが仕方がない。

「満、コレ何?」

「煮凝りだよ。昨日煮物作ったから冷めるとゼリーみたいになるの。ちょっと味濃いかも。」

「じゃあ満のこれとポテトサラダ交換して?」

「はいはい。ホント肉系好きなのねぇ。」

さり気なく半分こにして、ナチュラルにあーんをさせあうバカップル。先日の恐怖が嘘のようだ。
柳生は鳥肌を立てて見ないようにしている。ホラーが苦手なのだから仕方ない。2人してキレると恐ろしい事になるのだ。目にも留まらぬ早業で相手を切る満、カッとなると直ぐに手が出る赤也。加えて、満が殴られる現場を赤也が見た日には阿鼻叫喚の地獄を現実で見るハメになる。

「満、膝枕して。」

「足痺れるって言ってるのに仕方ないなぁ。」

「んで、今度抱き枕やってほしい。」

その発言を聞いた瞬間、赤也とジャッカルと真田以外は耳を塞いだ。

「赤也!!女子に向かって破廉恥な!!!」

首根っこを掴まれ、真田から懇々と説教を受ける赤也を眺める。ビリビリと鼓膜が痛くなる真田の叫びだ。頃合いか、と耳から手を離す一同と耳を痛そうに押さえるジャッカル。

「ジャッカル先輩、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ…何とか。」

しかし、幸村は目をぱちくりさせて満を見た。順応性が高い。
真田の叫ぶタイミングをもう解っているのかと、ある意味感心した。

「赤城さん凄いね。こんな短い付き合いで、真田が大声で叫ぶタイミング判るなんて。」

「倫理、道徳関係なら大体判るようになりました。流石は風紀委員長ですね。長々と説教出来る事も尊敬します。赤也が国語得意なのは真田先輩のお説教が関わっていそうですね。」

しかし、満はあまり説教されない。一応道徳観はしっかり教育されている。特に異性との付き合いは保守的な方だ。好意は伝えても交際を迫らない。

「弦一郎は古臭い言い回しをよくするからな。何度か俺も意味を聞かれた。」

「でしょうね。私も聞かれますから。何でも知ってるなんて口が裂けても言いませんけど、赤也は辞書使いませんから。」

「げにおっとろし2人に囲まれとんねぇ、赤也は。赤城は調べんのか?」

「たまに調べます。末期と聞いてピンと来なかったので。漢字を見れば解るのですが。」

結局、赤也は昼休み中真田に説教されて、満は三年達とお喋りに興じた。こうしていれば、本当に無害な後輩なのだ。

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