紅花の咲く景色 | ナノ
誰もが思うであろう事
悪魔化した赤也に対した、根深い英才教育の教えを踏まえて。
幸村は恐怖を幾ばくか知っている跡部に、頼める人が居ないのもあり依頼した。跡部は恐怖もあってあっさり了承した。
「あれ?な…跡部さん。立海までわざわざ、どうかなさいましたか?」
女子生徒達から騒がれていた跡部と忍足に、最初に会ったのは事情を知らないが当事者の満だった。だが、用事は2つある。
「どっちかわからねぇが、暴言言い切らなかった事は見逃してやる。幸村を呼べ。用がある。」
「そないな強がり言うて、赤城さんおっかないんやろ景ちゃん。」
ごく普通のプリントで、ペンを両断した満に憧憬か恐怖を抱いている氷帝。
最も敵に回してはいけない女子生徒だと、位置付けられている。
「忍足!ふざけた事言うんじゃねぇ!」
「あの、幸村先輩ならあちらにいらっしゃいますけど…?」
満が指す方向には、今から部活に向かう幸村達。
赤也は掃除当番だから満は1人なのだ。
「あ、ホンマや。幸村ぁぁぁ!頼まれもん配達に来たでぇ!」
満に呼べと言っておきながら、忍足が呼びつける。立つ瀬が無い気もするが、女子生徒の垣根を簡単に払いのけられる女子は、満だけだ。
幸村達が近付くと黄色い声がますます上がる。満は耳を軽く塞いだ。
「跡部。もう出来たの?」
「あぁ。少し部室に行かせてくれ。赤城がヤバいだろうが?」
「いや、問題ない。赤城、こやつらを黙らせてはくれんか?」
「はい。皆さん、お静かに、お願いします。氷帝のお二方は遊びにいらした訳ではありませんので。」
大声を上げ、笑顔を浮かべた満に女子生徒達は黙って逃げるように去った。
「…エラい効果あんなぁ。赤城さんそないに危ない事しとんの?」
「いいや。大方流言飛語の類で勝手に怖がっているだけだ。幸村、何を頼んだのだ?」
「凶器にならない文房具。万年筆はともかく、ボールペン沙汰にならないようにしたいから。」
「…あの、そんな無節操に切って回る趣味は私に無いのですが…。」
「樺地と赤也で2人してボコボコになっとったんメッチャ楽しそうに手当てしとったやん。よって説得力ゼロ!ホンマけったいな夫婦やなぁ。」
「全くだな。旦那切るんじゃねーぞ?ほら、幸村。合宿の案内。」
幸村は受け取ると、心から安堵したように笑った。悪魔化事件は、テニス部内極秘だ。
「有難う跡部。安心して学校生活を送れるよ。」
「…すいません、誰が誰と夫婦なんです?中学生なんですけど。」
「君達夫婦みたいなものじゃない。昼休みもイチャイチャしてるし。」
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