紅花の咲く景色 | ナノ
緊迫感が支配した


バカップルであっても、見解の相違などで喧嘩はよくある事なのだろうが。
この2人が喧嘩を始めると周囲への被害がシャレにならない大事件だ。

「…のぅブンちゃん。学校の雰囲気おかしゅうなっとらんか?」

「仁王も解ったか…。すげぇ嫌な予感すんだけどどうしよう。」

一限目が始まる前から、学校全体がどこかしら緊張感溢れる重苦しい雰囲気。
赤也と満が喧嘩を初めてしたのだ。
朝練までは普通だったのに何故?と2年D組の生徒以外は困惑していた。柳、真田、柳生、幸村の4人はこの異変がどこからか?と二限目後の休み時間を利用して見回りを始め、顔面蒼白になったD組の委員長に泣きつかれた。

「先輩方!この流血離婚寸前のカップル何とかして下さい!」

「…ある意味上手い例えだけど、やりかねないから笑えないね。」

「切原君と赤城さんが喧嘩ですか…。先生方の顔色が悪い訳が解りました。」

良くも悪くも、素直な2人だから機嫌が悪い事が良く解る。ピリピリとした緊張感の出どころはここだ。

「学校を巻き込んで喧嘩とはたるんどる。」

「弦一郎、ボールペン沙汰目前である事と先生方やクラスメート達が怯えている事実を認めろ。先ずは赤也に聞くか。」

満に聞くには、かなり近寄り難すぎた。先輩風を吹かせて、原因を聞く。

「だって満が…職業サンタクロースはいるけど都合良く欲しいものくれないって言ったンスよ!」

それを聞いた瞬間、とてつもない脱力感に襲われた4人とクラスメート。凄まじくどうでもいい事で喧嘩になっている。

「…真田。俺帰っていいよね?」

「幸村、俺も帰りたい。下らん事で喧嘩しおって…。赤城は間違っておらんが何故こうなる。」

「とりあえず、この空気を何とかしましょう。授業に差し支えます。」

「そうだな。赤也を説得すれば、最悪の事態からは脱却出来る。」

満について、今まで何回言っても聞かない事などを愚痴る赤也。満が完全に怒っていない事が、救いではある。
息すらままならない緊張に支配されるのだ。変質者の事件で三年レギュラーは学習した。

「ねぇ赤也。クラスも同じで部活も見てくれる赤城さんと、年に一回しか来ないサンタどっちか選べって言われたらどうする?」

「へ?フツーに満ッスよ。満と一緒だとすっげえ楽しいですし。」

「それなら赤城さんに謝るべきですよ。サンタより重要視されていない、と考えていらっしゃるかと。」

これだけで、この2人の傍迷惑な喧嘩は幕を閉じた。夫婦喧嘩は犬も食わない。

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