紅花の咲く景色 | ナノ
宴会芸が進化


氷帝メンバーは、満が制服でありながらコートに入っている事に当然ながら疑問を持った。

「幸村、そこの雌猫は何なんだ?」

「赤城さん、跡部切らないでね?多分色々あって跡部そういう事言うから!お願いだから!赤也、危険物確認しといて。跡部、赤城さんは俺達の救護要員。マネージャーじゃない。」

必死の幸村に満は苦笑して手を振った。
神の子、幸村まで怯える満の怒りはそうお目にかかれない。赤也と喧嘩さえしなければ。

「しませんから安心して下さい。真っ昼間にギャラリーの前で振り回す趣味はありませんから。」

「満、とりあえず手ェ上げて。確認すっから。」

大人しく両手を上げた満の制服を、赤也は隈無くボディチェックする。袖やネクタイ、スカートの端まで綿密に。
それだけ、三年レギュラーは満を警戒しているのだ。

「だから部活ん時はペン持つなって言ったじゃねーか!」

「書くもの無いと困るじゃない。何を使って、無くなりそうだとか報告してるのよ?」

赤也の手には二本のボールペン。至ってごく普通の、市販されているものだ。
氷帝メンバーは首を傾げずにはいられない。

「真田副部長、危険物はペン二本ッス。」

「うむ、危なかったな。」

「すまん、ペンにしか見えへんし危険物ってどういうこっちゃ?」

突っ込まずにはいられない関西人の性か。聞かない方が幸せな事をきいてしまった。
だが、防衛ラインは一応あるのだ。

「忍足君、世の中には知らない方が幸せな事が幾らかあります。体現しているのが赤城さんです。」

「柳生、意味深に聞こえるぜよ。赤城はのぅ、ペン一本で制服も切れるんじゃ。万年筆でストーカー撃退しよったきに。」

「え!?万年筆の立海の子ってこいつ!?」

向日が驚いたように満を見たが、信じられなくて当たり前だ。芥川は目をキラキラさせている。

「マジマジ?すっげー!万年筆の女の子だC〜!」

「紛れもなく、赤城だ。下手に刺激すると恐ろしい事になるぞ。万年筆どころか金属製の尖った物なら赤城は扱える。」

柳が重々しく言うと、日吉や宍戸なども唖然としていた。

「…どんな女だ。」

「べ、別次元て感じですね…。」

「ペンが危ないって…色々おかしいだろ。」

ごもっともな意見だが、とりあえず練習試合をしようとなった。
その後、満は頼まれて見本を見せた。紙でペンを真っ二つに切ったのだ。

「プラスチックですからコツを掴めば出来ます。」

流血の血筋による訓練で遊びとして扱われる、基礎。そして氷帝メンバーは、立海レギュラーから満の怖さを聞かされた。見たものは言っていいのだ。

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