紅花の咲く景色 | ナノ
連絡も慎重に


氷帝学園との練習試合を行う事になったのだが、氷帝は都内から神奈川くんだりまでやって来た。
しかし、メールでも電話でもましてや自宅に行って連絡をしていなかったのだ。レギュラー達は。

「真田先輩。あのやたらと豪華に見える方々はどちら様ですか?」

「氷帝のレギュラーと準レギュラーだが…聞いとらんのか?」

「聞いていませんね。初耳ですよ。アドレスは赤也と幸村先輩に教えている筈なのですが。携帯が呪われている訳でもありませんし、そんな映画みたいな事は有り得ませんがどなたに連絡を頼まれましたか?」

「仁王に頼んだ筈だが。」

それを聞いて満は、額に手を当てて深い溜め息を吐いた。無謀すぎる。よりによって仁王。赤也の方が顔馴染みだから救いがある。

「真田先輩、人選を考えて下さい。仁王先輩が我が家に来てしまったら、永久の若さを約束した永住させられる可能性ありますよ?母の悪趣味はお話しましたよね?」

「…すまん。赤城の母君を甘く見ていた。」

「地毛で銀髪の日本人だとしたら即アウトですね。しかも文句なしに綺麗な仁王先輩ですし。」

加えて、満は後輩だから理由など後から幾らでもこじつけかねない満の母。
蛇の道は蛇と、一流大学医学部に於いての幅広いコネクションをフル活用する。真相を知るのは赤城親子のみという、鉄則を遵守しているのだ。
脅しも兼ねて、満はちゃんと警告をした。

「赤城の母君は顔しか見ないのか?」

「真田先輩、母は悪趣味とは言えコレクターの端くれで、残りかすみたいなものです。気持ち悪いぐらいに拘りますよ。目立つ特徴を全て兼ね備えた、理想を追求する究極の悪趣味だと私は思います。」

実母をこれでもかと貶す満に、真田は何とも言えない顔をした。
生涯黙り続けなければならない事を、敢えて聞いたのだから。それでも、端っこを聞いただけで具体的にどうとは満も言っていない。

「赤城、それ目くそ鼻くそじゃねぇ?」

「丸井先輩、私はあんなもの集めたくありませんしそんな危ない真似しません。地毛でしたから母が少々、丸井先輩を気にしていましたよ?」

墓穴を掘った丸井。今のところ、満が止めているから悪趣味は増加していないのだ。
仁王と丸井とジャッカル、そして赤目になっている赤也は危険な状況に陥っている。
まさしく命に関わる重要事項だ。

「おーい真田、氷帝待ってんぞ。」

ジャッカルの声に、レギュラー達と満は部室からコートへと向かった。
人間兵器と言われてもおかしくない血筋で、王者が恐れる満は謎が多い。

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