紅花の咲く景色 | ナノ
台風一過のバカップル
事件を経て、満を怖がらずにはいられなくなった三年レギュラー。
しかし、何もしなければ満は実に大人しい、教師受けのいい模範生であり赤也の溺愛する彼女だ。
「切原君は大物になれますよね…。」
「これ見てたら忘れそうだって。」
「ジャッカルも単語力上がったよね。赤城さん賢いから無意識に難しい言葉使うみたいだし。」
「ただ、な…日常茶飯事には決してしたくないものだな。」
そんな先輩方の視線の先には、イチャイチャしっぱなしの流血カップル。
機嫌がいいのか、弁当を持ってきている。
「満、その肉と俺の焼きそばパン交換して。」
「はいはい。さっぱり風味に出来てる?」
さり気なくパンは半分こにして、満の口に入る事無く焼き肉は赤也の口に入っていく。
「ん。へふぉんふかってんの?」
「うん。レモンの絞り汁で最後はさっぱりさせたいなって。ツケダレは生姜とかごま油使ってちょっとこってりしちゃったし。だから食べながら喋らないの。マナー違反よ?」
「つい忘れちまう。御馳走様。またコレ作ってくんねぇ?」
「お粗末様。別にいいけど気に入ったの?焼き肉ホント好きねぇ。」
弁当やパンの袋を片付ければ、赤也は満の膝枕で腰をしっかり抱き締める。
慣れたのか、満はいつも耳掻きを持っている。毎日耳掃除をする訳ではない。
「だって満焼き肉行かないって言ってんじゃん。」
「そもそも私はテニス部員じゃないもの。それに食べ放題じゃないと足りないでしょう?」
「満食う量少ないしな。だから俺と追いかけっこして最高記録9分23秒って柳先輩言ってたし。」
「目下の目標は10分越えと赤也相手のラリー100回かなぁ。」
「スタミナホント無いもんな。早業は見えないぐらいなのに。」
「まぁ、これはお婆ちゃんに教わったやり方だし。この間はお母さんに叱られちゃったわ。」
やっぱりやりすぎとかそんな真っ当な理由であってくれ!と祈る三年。
「派手にやり過ぎって?」
「あんなに傷だらけにするなんてお婆ちゃんに似すぎって。」
「ストーカーの時は良かったのか?」
「お母さん好みじゃないから好きなだけ、って。お母さんは謎だわ。」
いやお前らが謎だよ、とひそひそ話す柳生と仁王。真田とジャッカルは、聞かなかった事にするつもりらしい。
「やはり赤城にはスタミナが著しく欠けているようだな。赤也とラリーまで出来るとは。」
ノートにあれこれ書きながら、柳は満の体力強化を考えていた。レギュラーとラリーだけでも出来る女子生徒は珍しい。
- 30 -
[*前] | [次#]
ページ:
メイン
トップへ