紅花の咲く景色 | ナノ
降らないが舞った


そうして最強王者立海大テニス部レギュラーから、毎日送られている満だが。世の中は危険に溢れている。立海の女子生徒が何人も被害に遭い、数日後。
少し足を止めて振り返った瞬間。満のスカートが無惨にも、切られてしまったのだ。表情豊かな満の顔が無表情になり、レギュラー達は顔面蒼白になった。
満は振り返って無表情のまま

「皆様、回れ右。耳も塞いだ方が幸せかと。」

すぐさま満に従うレギュラー。柳生は今にも倒れそうだ。
そして万年筆をネクタイから出していた満は、趣味と実益と怒りに任せ変質者を蹂躙した。凄まじい叫び声が耳を塞いでいても聞こえてしまう。

「赤也。終わったから伝えてちょうだい。ちょっとグロテスクだから勇気のある人は見てもいいわ。」

ある程度耐性が付いている赤也は耳を塞いでいなかったので、振り向くとにっこり笑って告げた。
あっという間だったのに一滴も浴びていないが少し息が荒い。瞬発力はあるがスタミナは本当に無いのだ。赤也が合図をすると、柳生以外は振り向き絶句した。何度か見た赤也は、冷静に携帯で通報している。

「ちょっと、グロテスク?かなりじゃろ。」

「致命傷は負わせていませんし、すぐ出血は止まりますから。足の健を切りましたのでもう動けないでしょうね。」

「…俺達も動けないよ?」

腕や足から溢れ出る赤。中学生でなくとも、動けないだろう。
この状況で冷静な赤也と笑っている満がとても怖い。警察も警戒していたので早くにやって来た。顔馴染みらしい警官が、満に敬礼する。

「ご協力、感謝します。赤城さん。」

「いえ、私も切られてしまったので少しカッとなってしまいましたから。後はお願い出来ますか?」

「はい。」

救急車で運ばれる犯人と現場検証、満達の証言を聴取して帰宅となった。

「赤也、悪いんだけどジャージ貸してくれない?結構派手にスカート切られちゃったみたい。」

「うん。腰に巻いとけよ。下はデカすぎだろ?」

歴史を誇るジャージだが、彼女の太ももを隠す為なら赤也は厭わないし、レギュラーも言わない。
ただ、三年レギュラー達は満を絶対に怒らせてはいけない、と肝に銘じていた。

「こんな事、二度と起きて欲しくないですね。体力付けなきゃなぁ…。帰りましょう、皆さん。」

「満ホントキレると静かな割にやる事怖いよな。表彰式またあんのか?」

「多分ね。」

そういう問題なのか?と誰もが思うが、怖くてまだ口も動かない者もいる。
赤也はかなり、満が好きなのだと実感してもいた。

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