紅花の咲く景色 | ナノ
変質者は春から夏


立海大附属中学校男子テニス部。関東大会15連覇と全国2連覇という素晴らしい戦績を誇る。その為外部との練習試合も多々あるのだが。
現在彼らは頭を悩ませていた。

「時期としては居てもおかしくはないのだが、隣のクラスの女子が被害に遭ったそうだ。」

「スカート切って暴行って事件結構範囲広いよな。この辺まで来たってヤバすぎだろ。赤城練習終わってから帰るんだし、万年筆また使われんじゃね?」

「ブンちゃん知らんの?女子連中変質者が赤城襲って返り討ちに遭えって言っとるぜよ。」

「他力本願とは我が校の恥に等しいな。二年の赤城に頼るなどたるんどる。」

「犯人が早く捕まればいいけど赤城さん襲ったら間違い無く…」

血の雨が本当に降る。
神奈川を騒がせる変質者は夕方以降に出歩く、女子中学生や女子高生のスカートを切った上で、暴行をするとニュースにまでなった。とんでもなく物騒極まりない満を、どうフォローするか。神奈川県警といい意味で知り合いだと柳は知っているのだが、手口が怖い。レギュラーミーティングも兼ねた集まりで、全員が頭を抱えていた。

「確かに赤城さんは変質者を捕まえた事で校内でも有名ですが、女性を危険に晒すなど論外です。」

「満はそーゆー正義感より自分がやられたら倍以上にやり返すッスね。制服切られたら相手の服ボロボロとかやりそーッス。」

柳生は塾に通うが、そこでも女の子達は送迎される程警戒されている。
立海男子テニス部にとって厳戒態勢を布きたくなる非常事態だ。満が黙ってやられる筈がない、と赤也と柳は確信している。

「赤城もニュースで知ってるだろうし、とりあえず1人で歩かせないとか?」

「ジャッカル、甘いな。その筋によれば複数人で歩いていても、連れ去られて暴行されるらしい。」

「真田が居れば大丈夫じゃねぇ?見た目怖いし。家も近いから保護者っぽくしたらさ!あ、コレ結構天才的!」

「丸井君。お忘れのようですが真田君は鍵当番ですから帰りは最後です。」

「ついでに赤也は掃除当番3ヶ月実施中、1分の遅れも赤城さんは許さない。説明して納得してくれればいいんだけど。」

「レギュラー全員で赤城送るんじゃったら多少待ってくれるんじゃなかか?事情が事情ぜよ。」

「それが堅実ではあるが、柳生や幸村は用事と方向の問題で辛いだろう。」

結局満を全員で送る事になり、満と各々の家族には理由も話して納得してもらった。
満が母子家庭で家業が評判のいい医者だから。

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