紅花の咲く景色 | ナノ
皇帝すら二の足を踏む


休日返上で、満はテニス部の練習に付き合っている。基本的に制服のままコートにあるベンチで練習を眺める。
今日は高等部の先輩と練習試合だ。

「最速で終わらせるから見とけよ!?」

「はいはい。赤目期待してるわ。」

苦笑しながら、なかなか離れようとしなかった赤也を見送る。真田の制裁が待っていそうだな、と当たらずとも遠からずな予想をしていた。

「赤城さんってホント愛されてるね。」

「愛なんですかね。」

まだ試合は参加しない幸村の言葉にあっさり返す満だが、かなり薄情な発言だ。ルールは粗方理解しているが、試合の基準が立海と言う致命的な話。
レーザービームや、ジャッカルの守備の広さは当たり前。
満も頼んではいないが、赤也とラリーは出来る化け物だ。スタミナが無いので、試合にはならない。

「赤城、赤也が聞いたら81%で泣くぞ。」

「いえ、確実に泣くと思います。前回赤目にならなかった事を赤城さんが残念がっていただけで涙目でしたから。」

意地っ張りで、賑やかな赤也だが満関連の事となるとよく泣きそうになる。ミーティングの日は朝練だけで部活に出ない。
図書館で本を探しているからだ。柳とも図書館仲間で将棋を教えて貰っているので、赤也は寂しい事を隠せない。

「あ、赤城さん。赤目になったよ。」

「あぁ、なんて綺麗なのかしら。やっぱり新鮮な方が綺麗だわ。」

「赤城さん、怖いです。先輩方は詳しくご存知ないのですから…。」

「柳生、無駄だ。もう赤城は別の世界に行った。」

うっとりとナックルサーブの餌食になっている、高校生を眺める満。勘違いされそうだが、赤也が張り付くのでそれはないのだ。
試合後、よくナックルサーブで指先を痛める赤也の手当てを満は毎回する。

「満、見てた?」

「うん。今日は楽しかったわ。それにしても…真田先輩は何も言わないわね。制限時間内だったの?」

「あ、そーいやそうだ。何でだろ。」

練習中はいちゃつかないようにしている2人。手当てや休憩時間に話す程度、と満が決めたのだ。しかし悪魔化した赤也すら、負かしそうな満。
安易に制裁を満には出来ないのだ。

「はい、手当て終わり。最近怪我が減ったわね。」

残念そうに片付けを始める満に、赤也は呆れる。

「普通いい事だろ。満に言ってもこれだけは変わんねえなぁ…。」

「美しいものを見たい、素直な欲望じゃない。」

「言い方は綺麗だけど中身がマズい。」

その後、きっちり真田から赤也は制裁を受けていた。タイムオーバー。

- 25 -


[*前] | [次#]
ページ:






メイン
トップへ