紅花の咲く景色 | ナノ
慣れるのが悲しい


昼休み恒例、流血カップルのイチャイチャ。幸村が退院し、目の当たりにして固まった。

「…真田が何も言わないって事はもうこれ普通にやってるのかな?」

「あぁ。俺達は慣れていたが幸村は初めて見たな。凄まじいだろう。」

「邪魔したら後が怖くてのぅ。」

口々に日常的に行われる、イチャイチャ加減を語る三年レギュラー。
邪魔をすれば、赤也が間違いなく黙っていないのだ。満は気にしないのだが、無意識にプレッシャーをかけている。

「あの赤城の毒牙にかかっていないのは幸村と弦一郎だな。」

「気付かない内に味見終了してっからな。ジャッカルなんか感想言われた?」

「俺?いやタンパク質取りすぎって食生活注意されただけ。」

お手軽健康診断扱いだ。柳と柳生は評価が高く、最悪だったのは赤也。
満は栄養学にはそこまで造詣が深くないが、医学知識として基礎は知っている。

「赤城さんも女性ですからどちらかと言うと野菜を多く食べる人のものを高く評価されますね。」

「でも満の好きな食いもんキドニーパイッスよ。」

「つい好きなものは作りすぎちゃうのよね。野菜中心に食べてるんだけど。はい赤也逆の耳出して。」

膝枕に耳掃除、と見事なイチャイチャぶりだ。
赤也は目を閉じて、今にも眠りそうだ。満は足が既に痺れているが、やり始めると徹底したい性を我慢出来ない。

「平も多数注意を受けたそうだな。調べ方はともかく健康管理もまた、赤城は徹底しておる。見習わねばならんな。」

「確かに赤城さんのお宅にお邪魔した際はアルコール消毒をしましたね。赤城さんのお母さんは、医者の不養生など無縁の方に思えます。」

「赤城さんって医者の娘なんだ。確か柳生のお父さんも医者だったよね?」

一緒くたにされたくはないが、事実だ。満ほど徹底管理はしていないが、柳生も気をつけている。

「ただ、赤城の部屋は凄まじいから行かない事を勧めるぞ。」

「刃物コレクションすっげえから。幸村君は行きたくないと思うけど。消毒薬臭い家だし。」

「お庭は華やかでしたね。咲いていたのは赤い花ばかりでしたが、紫陽花や南天もありましたよ。」

「あ、それは見てみたいなぁ。」

全ての植物が赤い実か花をつける事を、まだ彼らは知らない。

「あの刀の手入れを是非とも聞きたいな。あれは間違いなく真剣だ。」

「俺は図書室を見たい。かなりの広さだったからな、蔵書量も推して知るべしだろう。」

実害は無いから、結構レギュラー達は興味をそれぞれ持っている。

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