紅花の咲く景色 | ナノ
中学生の恋


夕食の出来が良かった翌日は、満の機嫌がいい。その事を知らない三年レギュラーは、何があったんだ?とは怖くて聞けない。

「赤城さん、どこか上機嫌ですね…。」

「聞くな柳生。不幸になるぞ。」

そんなプレッシャーに耐える、王者のランチ。しかし流血カップルは、事情を知っている赤也が甘えっ放しだ。

「満、唐揚げパンとミニメロンパン交換して?」

「はいはい。滅多にこのメロンパン買って来ないのにお店教えようか?」

朝型の満だから、朝練も律儀に見ている。現在は真田の次に登校時刻が早い。
起床時間は同じだが、やる事は正反対。満は予習をして2人分の朝食を作る。規則正しい生活は、健康管理の為で家業故だ。

「満が買ってくるから食いたいんだよ。ほら。」

「…すっげえイチャイチャしてんな。もうバカップル超えて夫婦みてぇ。」

「敵に回したくない、世界一怖い夫婦になるのぅ。ブンちゃんナイス。」

何事も、毎回あれば慣れてしまうものだ。イチャイチャしている流血カップルを眺めながら、プレッシャーの中軽口を叩ける。
ある意味メントレに近い。

「そーいや赤也って赤城の家よく行くのか?」

「そうですね、二度と行かないと言いながら私の部屋で英語の宿題をして居たのですが、席を外した隙に寝ていましたよ。」

ジャッカルの素朴な疑問にあっさり答える満。真田に疚しい事は無いと説明しているので説教は無い。
しかし、あの部屋で!?と思わずにはいられない。

「…赤城さんの部屋で、ですか?」

「はい。食事の時間になっても起きなかったので、母と2人で運びました。赤也は私が運べる重さではありませんから。」

起きてからきっちり食事はしていた赤也。勿論、帰宅後は切原家でこってり叱られていた。

「赤也は大成するかも知れんな。心頭滅却せねばあの部屋では眠れまい。」

「赤城さんの部屋では…切原君は命知らず…もとい、勇者ですね。」

「俺も無理じゃ。赤也、赤城を幸せにしてやりんしゃい。」

「ふぇ?何で結婚まで話が行くンスか。」

確かに満は大好きだが、そんな先の事まで赤也は考えない。だが三年レギュラー達は口々に赤也を応援すると言う。

「あの部屋で平然と眠れる人間は赤也ぐらいだろう。赤城も赤也の気性を熟知しているようだな。」

「俺ら赤也応援すっから。フォローも出来るだけする。」

「式は呼べよ?俺がケーキ焼くから。」

「…随分気の早い話で、全く実感が湧きません。」

「案ずるより産むが易しとも言う。」

中学生だ、と主張した流血カップルだが、先輩全否定は無理だ。

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