紅花の咲く景色 | ナノ
異種格闘技の準備


長らく不在であった幸村が退院する、との事で満は顔合わせも兼ねて病院へ行く事になった。幸村も満の話は聞いているので、覚悟はしている。

「お花はやっぱり、鉢植えのサイネリア?」

「赤城、解っていて言っておるだろう。」

「それでは椿にしますか?時季はずれですが。」

「赤城さん…冗談だと解りますが止めて下さい。」

真田と柳生は呆れ、花の話だと解っていても内容が解らない赤也は困ったように柳を見た。

「柳先輩、どーゆー事ッスか?」

「一般的に鉢植えの花は寝付くと言われ、椿は頭落ちと縁起が悪い。サイネリアの別名はシネラリア、菊は論外だな。後は赤い花も血を連想させるとの事で良くないと言われる。赤城は医者の娘だからな、常識として冗談で言っている。」

「満は笑えない冗談よく言うンスよね…。」

「ブラックジョーク、と言うな。」

真田と柳生と満は、冗談を止めて真面目に花の話をしている。
もうじき合宿や大会など、イベントが目白押しだ。幸村の快気祝いなども予定しているのであれこれと忙しい。

「のうブンちゃん。」

「俺も赤城が頭良いの忘れてた。」

「ジャッカルと赤也はもう理解放棄しとるぜよ。賢いと冗談が解るんじゃな。今までずっと柳生任せじゃったし。」

ある程度決まったのか、真田は満と柳生から離れて丸井に声を掛けた。

「花は柳生と赤城に任せる。俺は菓子を買いに行く。丸井、行くぞ。」

「おー!今日は何食おうかなー。」

途端にテンションの上がった丸井。結構現金な所もあるのだ。

「春ですから色々とありますし、柳先輩。幸村先輩はどのようなお花がお好きでしょうか。」

「水色が好きだからな、淡い配色が妥当だろう。」

「香りの弱いものが常識ですからね、今回はどうしましょうか。」

「前回は覚えていらっしゃいますか?」

内科医の息子と外科医の娘と歩く辞書。
三人寄れば文殊の知恵と言うが、凄まじい量の知識を持つ三人だ。主役を引き立てる花まで拘っている。

「ジャッカル先輩、満って変な噂山ほどある割に先生受けいいッスよ?」

「赤城のイメージちょっと変わった。アレでも柳と同じ学年首席だったな。」

「んでもって赤城はストーカー撃退して万年筆ブーム起こしとるからのう。知らん方がいい事ってあるんじゃな。」

趣味と特技を除けば、素晴らしい模範生。
満を詳しく知らないから、方々で持て囃されていたのだ。立海のイメージアップに一役買った。しかし、内容は伏せられている。常人には出来ない事だからだ。


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