紅花の咲く景色 | ナノ
今の今まで


食後はイチャイチャする事が慣例となった、物騒な流血カップル。
しかし、周囲の三年レギュラーは心中複雑だ。危険ではないがかなり居たたまれない。

「なぁ満。」

「ん?何かな?」

「…何で名前呼んでくんねぇの?俺は呼んでんのに。」

「会話は成立してるじゃない。」

「いや、その…。」

カップル繋ぎをしながら、のんびりと話す2人。クラスでも切原君、と呼ばれていて片思いのままな気がしてならない赤也。
クラスメートは立派なイチャイチャぶりを見せ付けられているから全く気にしていない。

「赤也、ナチュラルにラブラブせんでくれんか?別れたばっかの俺に対する挑戦か?」

「仁王先輩、ナチュラルなんて通じませんよ。英語のボキャブラリー貧困なんですから。」

「赤城は結構詳しいよな。英語好きなのか?」

「ジャッカル先輩や柳先輩程では無いでしょうが、外科医の夢を叶える為に勉強はしていますよ。スラングは理解出来なくとも日常会話を目指していますから。」

ニコニコと答える満の肩に顔を埋めて、赤也が泣きそうな声で呟く。

「だから嫌だって言ったのに…。満とご飯は嬉しいけどまた目ェ付けられて返り討ちにしてるし…。」

真田がピクリと反応した。確かに、レギュラー達はファンクラブの女子が最近大人しくなったと感じる。満の暗躍があったとすると辻褄が合うのだ。

「赤城ってタフだな。女子ってイジメネチネチしてるだろ。」

「話し合いの機会を頂ければ納得して下さいます。丸井先輩、彼が泣きそうなんですけど。」

「満が意地悪すっからだよ!先輩達も悪乗りして!話誤魔化さないで欲しいッスよ!」

本気で涙目の赤也の頭を、満は撫でて苦笑した。

「もう、泣かないの。解った?赤也。」

聞いた瞬間、赤也は喜色満面で満に抱きついた。

「マジ満大好き!」

「…仁王。俺今赤也に犬っぽい耳と尻尾が一瞬見えた気がすんだけど。」

「ブンちゃんも見えたんか。赤也本気で好きなんじゃなぁ…。」

「いや、この状況が当たり前になってる事に誰か突っ込めよ。」

「まぁ、危なくは無いのでいいのでは?」

「そうだな。下手に引き剥がすと赤也が暴れる確率87%だ。」

「授業に遅れるかも知れんからな。仕方あるまい。何せ」

「弦一郎、続きは全員解っているから言うな。」

物騒な流血カップルを見守りながら、結構好き勝手に言っている先輩レギュラー達。
何せ、赤城は変態だから怖い。自然と全員共通の概念になっていた。ボールペンで制服を切る満なのだから。


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