紅花の咲く景色 | ナノ
学年主席2人
まだまだ解らない事が多々ある満は、レギュラー達と昼食を取る。
専ら満が質問しているのだ。満は外科と内科と小児科を標榜する個人病院の一人娘だが、母も整形外科は基礎しか知らないので勉強中である。
「たまにあるが、肉離れを起こす部員もいるな。確率としては21%だ。」
「肉離れ…筋肉の問題でしょうか。応急処置としてはどうすれば宜しいのですか?」
「氷で冷やす。氷嚢は部室に常備しているから氷を家庭科室から、ドリンク用に平が持って来るのを使うといい。」
「解りました。患部を急激に冷やすのですね。過呼吸と熱中症は何度か処置をしましたから、後は動けるテーピングを覚えるだけでしょうか?」
「そうだな。一般的な手当てはこの程度だ。赤城は飲み込みが早いからこちらも助かる。」
伊達に医療助手をしている訳では無い。更に人体急所まで心得ている満だから、基礎知識はあるのだ。
「満、コロッケパンと焼きそばパン交換しようぜ。なんか美味そう。」
「はいはい。本当に人の食べ物欲しがるわね。はい、あーん。」
当たり前のように、バカップル丸出しの行動。独り身には羨ましい光景…なのだろうか。
「ん。ふぉい。」
「食べながら喋らないの。直そうよその癖。」
「赤也…何ラブラブしまくってんだ。独り身が寂しいだろ。」
恨めしげに丸井が赤也を見る。満を睨む事は矢張り怖いようだ。
「バカップルのお手本みたいじゃのう。」
「切原君も部活はしっかり集中していますし、赤城さんも噂のような方ではありませんから。有り難い限りです。」
「うむ、確かに集中するようになったな。それに成績も上がったようだ。」
「そーいや最近俺んとこに英語教えてくれって来なくなったな。赤城、ありがとな。」
2人共咀嚼していたので黙っていたが、飲み込むと満はジャッカルに向かって一礼した。
「今まで教えて下さっていたのですか。桑原先輩、有難う御座います。be動詞が解っていたのは先輩のご尽力だったんですね。」
「あ、ジャッカルでいいって。みんなそー呼んでるしテニス部じゃ名字で呼ぶの赤城ぐらいだから。」
パタパタと手を振るジャッカルだが、赤也が黙って見ている筈が無い事に気付いているのは、柳と柳生だった。
「二年にもなってbe動詞が何とか解っとる…かなり重症じゃのう。」
「赤也エースの意味も最初全然解ってなかっただろ。」
「キャラクター名と勘違いしとったな。ブンちゃん教え下手じゃし。」
話題はかなり悲惨な赤也の英語。
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