紅花の咲く景色 | ナノ
背筋も凍る立海大の女子


後日談

青学元マネージャーの事件を受けて、青学メンバーはそれこそ恐怖に震えていたのだった。

「…どうするンスか。」

重苦しい空気の中、海堂が口を開く。青学の名は地に落ち、更に王者立海を真っ向から敵に回した。
笑顔のまま、万年筆さえも凶器に変える満が待ち構えているに等しい。

「謝って、済むかな…?」

「不二先輩、俺と越前と菊丸先輩はモロ喧嘩売ったンスけど。」

息すらままならぬ敵意、目にも留まらぬ早業。
色々終わるから、と合宿にて忠告されていたのに。と後悔先に立たず。
河村も満の腕を見たので、恐怖しかない。亜久津すら手も足も出ないのだ、推して知るべしである。

「…全面的に俺達が悪い事は解ってるんだけど、怖いな。」

これと言って何もしなかった事が、裏目に出かねないのだ。話しか聞いていなくても怖い。
氷帝が庇う理由は、保身だったのだと漸く理解していた。

「やるだけやるしか道はないだろう。」

どれだけ策を練っても、青学から満は、立海レギュラーの絶大な信頼を勝ち得ているようにしか見えない。かなり違うが、内情を知らないのだから仕方無いだろう。

「…教授に、連絡してみるから待ってくれ。」

どうか何事もありませんように、と祈るしかないメンバーだった。

「赤城。昨夜貞治から謝りたいと連絡が来たのだが何かしたか?」

朝練のランニング中、珍しく柳から声を掛けられて満は目を丸くした。青学と言えば、傍迷惑極まりないマネージャーの一件が解決しただけだ。

「嫌がらせ以来、全くお会いしていません。柳先輩と青学の乾さん達だけはアレを見ましたから、大方完全武装で乗り込むとか有り得ない事を気にされているのでは?」

「満、アレって何だよ?」

「赤也には絶対見せたくないもの。赤也は敵意丸出しの私なんて見たくないでしょ?」

「うん。いでで!仁王先輩耳引っ張らないで下さいぃっ!」

「ランニング中、赤城に話しかけんな。」

ナチュラルにランニングをしながら、バカップルになりかけた2人を無理矢理引き戻した。平和な一面である。

「俺達は解っているが、青学のたわけどもがどう怯えているかは、想像に難くないな。」

「赤城さん本気で怒らせたからね。まぁ、来るなら来るでいいけど赤城さんにはお願い。出来るだけでいいから切らないで。」

「幸村、全員で出迎えてやるという案がある。」

練習に集中しろ、とはもう誰も言わない。満から危険物を回収し、全員で出迎えて恨みつらみを存分にぶちまけてやろうと決まったのだった。
十円ハゲの危機に瀕し、胃痛に悩まされたからこそ。


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