ハロウィン企画 | ナノ
優雅にして繊細



レイブンからのメールに、きっちり黒のマニキュアとデコレーションを施した指を動かす総帥。その笑みは素晴らしくあくどい。

「まさか、蓮の誘いに乗るとはな。人間はこれだから面白い。」

「リャオ総帥、口調を。」

窘める通称紅を軽く睨み、唇を尖らせる総帥。

「誰が聞いてる訳でも無いじゃない。あなたさえ、黙っていれば。」

迫力満点の笑顔に、紅の顔がひきつった。運転手と座席は防弾ガラスで防音も完璧、必要ならガラスは下ろせるのだ。

「…最初は驚きましたけどね。こんな事を始めて何が楽しいかと。」

「実際、楽しいでしょう?私は楽しい事の為なら色々やるわ。」

ヤクザの雀荘を情報で買う離れ業、更に自分の知人すら巻き込んで公式のギャンブルまで可能にした。この手腕は異常なのだ。
地味にならないならいっそ華々しいくらいに飾り立て歩き方からしゃべり方、仕草まで完璧な成人女性。

「こちらは色々と苦労しましたがね。楽しくないのは嘘です。」

健康的な肌、神経質なくらいに髪をセットした紅は苦笑した。誰一人として、気付かないのに驚かないなら総帥から誘われない。まさか側近扱いに居るとは思いにくい普段の自分だ。遼とも、男友達として接するのだから。

「でしょう?真田が、ねぇ…。」

車の中、楽しげに笑う総帥と真田のリアクションをこっそり期待する紅だった。

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