ハロウィン企画 | ナノ
言わずと知れた



静かに車が止まり、恭しく差し出された手を取りゆっくりと、しなやかに歩く美しい女。その背は驚く程高く、深紅のドレスに艶やかな金髪が揺らめく。
誰もが平伏す、威厳に満ちた海のような目は君臨する者に相応しいものだ。

「ここでいいわ、後は好きになさい。」

唇から零れ落ちるハスキーヴォイスは、甘美なまでに色香を醸し出していた。手を離し、男は扉を開く。

「リャオ総帥御到着!」

マスターの声が響き、麻雀に興じていた全ての人間が総帥に視線を向ける。それらを見渡し、総帥は艶やかに微笑んだ。

「今日も盛況ね。あら、新顔?」

真田へ目を向けるが、真田は現状を把握していない。きっちーと呼ばれる男が、軽く耳打ちした。

「リャオ総帥、ここの元締めだ。逆らったら即警察沙汰って暗黙の了解があるから気をつけろ。」

「きっちー?聞こえていてよ。ここは楽しく遊ぶ場所なのだから、多少羽目を外してもいいわ。」

楽しげに笑う総帥は、上流階級育ちの如く軽やかな足取りで奥へと向かった。

「相変わらず俺達の総帥閣下は派手だなー。な、氷柱。」

「そ、そうだ、ね…。日和の番だ、よ。」

ケタケタと笑う日和に、先を促す氷柱。それを皮切りに、麻雀を再開する。それ程までに、総帥の圧倒的な存在感と美しさは目を引くのだ。
総帥をエスコートしていた男が、真田へと近付いた。

- 6 -


[*前] | [次#]
ページ:

コラボ部屋




メイン
トップへ