ハロウィン企画 | ナノ
聞こえない鐘
豪華絢爛、としか言いようのない四天王。女帝や太夫など、その仮面に相応しい異名を持つ彼女達は、人の目を引く。
「…何だか一時間もしないうちに一晩経った気分になりますね。」
「同感です。しかし、他には居ないので…」
リャオと蓮が立ち去った後に。手塚の溜息に、真田が頷きながら見回すと隅の方で誰かの腕を掴み、忙しなく知人を探す氷柱を見つけたのだった。
「みつさん。氷柱さんが居ますが行きますか。」
「そうですね。あぁ、どうも失礼。」
会釈された手塚は、悲しいかな条件反射で挨拶をしてしまう。真田も同じだが、氷柱と話すまでに幾度となく挨拶を交わす羽目になっていた。
「あ、みつさんに弦さん。こんばんは。」
知り合いが居るだけで安心する、と言わんばかりに氷柱は珍しく笑いかけた。しっかり腕は掴んだままだ。掴まれている男は手塚と真田を一瞬だけ見て、小さく呟いた。
こんな会場で聞こえるはずもない。
「…すいません、もう一度お名前を聞かせて頂けますか?」
挨拶ではなく、名乗られたように見えたのだ。初対面なのだから仕方無い。
「こ、この人は星見さん。僕が総帥達に頼んで、来てもらったんだ。」
氷柱と星見、2人して俯き気味なのである意味目立つが、殆どはグラスを傾けながらカードなどに興じている。
親交を深め、新たな友人をと言う題目でパーティーは行われているのだ。
「成る程…氷柱さん、他にお知り合いは見つかりましたか?」
「う、うん。…神の姫とレイブン、それとマスターはブラックジャックの方向に見かけた、よ。」
「…弦さん、神の姫さん?はご存知ですか?」
「初耳です。」
自分達がどんな場所に入り浸って遊んでいたか。全く解っていない2人だった。
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