ハロウィン企画 | ナノ
聞こえない鐘



豪華絢爛、としか言いようのない四天王。女帝や太夫など、その仮面に相応しい異名を持つ彼女達は、人の目を引く。

「…何だか一時間もしないうちに一晩経った気分になりますね。」

「同感です。しかし、他には居ないので…」

リャオと蓮が立ち去った後に。手塚の溜息に、真田が頷きながら見回すと隅の方で誰かの腕を掴み、忙しなく知人を探す氷柱を見つけたのだった。

「みつさん。氷柱さんが居ますが行きますか。」

「そうですね。あぁ、どうも失礼。」

会釈された手塚は、悲しいかな条件反射で挨拶をしてしまう。真田も同じだが、氷柱と話すまでに幾度となく挨拶を交わす羽目になっていた。

「あ、みつさんに弦さん。こんばんは。」

知り合いが居るだけで安心する、と言わんばかりに氷柱は珍しく笑いかけた。しっかり腕は掴んだままだ。掴まれている男は手塚と真田を一瞬だけ見て、小さく呟いた。
こんな会場で聞こえるはずもない。

「…すいません、もう一度お名前を聞かせて頂けますか?」

挨拶ではなく、名乗られたように見えたのだ。初対面なのだから仕方無い。

「こ、この人は星見さん。僕が総帥達に頼んで、来てもらったんだ。」

氷柱と星見、2人して俯き気味なのである意味目立つが、殆どはグラスを傾けながらカードなどに興じている。
親交を深め、新たな友人をと言う題目でパーティーは行われているのだ。

「成る程…氷柱さん、他にお知り合いは見つかりましたか?」

「う、うん。…神の姫とレイブン、それとマスターはブラックジャックの方向に見かけた、よ。」

「…弦さん、神の姫さん?はご存知ですか?」

「初耳です。」

自分達がどんな場所に入り浸って遊んでいたか。全く解っていない2人だった。

- 18 -


[*前] | [次#]
ページ:

コラボ部屋




メイン
トップへ