ハロウィン企画 | ナノ
寒月の宴



真田がある程度常連達と気軽に話すようになってからの事。女と見まがう顔の男に、隠れるようにして辺りを見回す少女がまた別の男に手招きされながらやって来た。

「芙遊、いつもの事にしたくないが!ひっじょーに!歩きにくいから!今離れろ!」

「だ、だって…。」

男の服を握り締め、怯える芙遊。まるで小動物のように警戒している。

「まぁまぁ、纏君も芙遊ちゃん怒鳴りつけたらアカンで?…総帥だっけ?総督だっけ?のお呼び出しなんやし。」

「総帥だ馬鹿者!あの方を間違えるなんて有り得ない…!」

三人でコントでもしているのか?と思いたくなるが、それぞれの仮面に合わせた会話がそう見えるだけである。

「篠突、そのリャオ総帥から伝言だ。」

関西弁に似た言葉を使うがイントネーションは滅茶苦茶の篠突へ、マスターから手紙を渡された。金の薔薇をモチーフにしたシール、これはリャオ専用だ。
四天王はそれぞれ、家紋のように手紙に貼るシールがいちいち凝っている。

「…何もやってへん、のがあかんとかムチャや。」

恐る恐る手紙を開き、篠突は目を通す。安堵の息が部屋中に広がった。

「どうした篠突、総帥に何かあったのか?まさかこれ以上規模拡大!?」

「…アホか。四天王大集合で会議やったんやて。詳細は書いてへんけど、纏君なら解るんやないか、ってかるぅい嫌がらせや。」

一瞬だけ、纏の目が変わったかに見えた。篠突は纏に手紙を押し付け、芙遊の手を引いて麻雀をするべく歩き出した。

「…篠突、藤も来たの、かな…。」

「やろな。四天王やん。」

今にも泣きそうな芙遊を、必死で宥める事になった篠突だった。

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