ハロウィン企画 | ナノ
退屈しのぎに最適



元はと言えば、非公式かつ違法賭博を行っていた店だと、限られた者しか知らないマジック。奇妙ではあるが、総帥の影響力は常軌を逸したものだ。
夜もすっかり老けた頃。マスターは常連達に時間を告げた。午後10時にさしかかる。

「ほんなら今日はこれでお開きにしよまい。」

「お開きにしましょとか言いながら、超負けっぱなしじゃんあけぼの!」

眠くなってきた、と欠伸をするあけぼのへ日和が茶々を入れる。途端に、不機嫌そうな顔で日和を見上げるが事実だ。
きっちーこと金柑も、せんちゃんこと仙人に負けっぱなし。真田も同じだ。

「もうこんな時間だったのか。急がなければ。」

「弦は連絡する相手がいるのか。大変だな。」

みつの詳しい事情は聞かない、と言う姿勢に感謝しつつ真田は祖父から説教される事を覚悟していた。

「リャオ総帥、だったか?あの女性は若く見えたが…あちらの人、か?」

それに、マスターは高らかに笑い否定した。

「とんでもない。リャオ総帥は確かにあちらとは知り合いですがその手の事とは無縁ですよ。」

輝かんばかりの美貌、女帝さながらに振る舞う姿はあちらと釣り合わない。だが美しさにあちらが惹かれたのか?と真田は考えたが、携帯の着信履歴を見てあっという間に店を出た。

「…リャオ総帥の悪戯にしては、楽しくなりそうだな。」

「雲海。き、聞かれたら…。」

「氷柱、この程度で目くじらは立てねえからな。…総帥は。」

紅が呟く先には、暗示が見え隠れしていた。二大権力者、総帥と蓮。それに次ぐ実力者。
マジックの種明かしは、まだまだ先の話のようだ。

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