ハロウィン企画 | ナノ
大輪の花
奥へと進む総帥に、誰もが挨拶をしていく。奧にはBARがあるが、喫煙者向けの部屋も設けてあるのだ。商売上手、と言える。
「お久しぶりです、総帥閣下。本日も大変麗しくお出でで。」
「マスター、当たり前の事を言われても私はちっとも嬉しくないわ。」
一見冷ややかな言葉の応酬だが、誰も咎めない。いつもの事だ、とばかりに周りは笑う。
「リャオ総帥、少しばかりお疲れ気味の雲海を労って頂けますか?」
「お安いご用よ。マスターは意地悪ね。」
悪戯っぽく、小悪魔的な笑みを浮かべ総帥は雲海の下に向かう。内心は、冷や汗どころか肝まで凍りそうなマスター。輝きこそしていないが、あの目は聡ければ気付く。
「リャオ総帥!こっちまでくるなんて珍しいねぇ!部屋で打たないの?」
「そうね、蓮。拗ねちゃった我が儘坊やの雲海君はどちらかしら?」
君臨者の余裕と貫禄、そして色香。普段の姿を知れば全員腰を抜かすだろう。蓮とマスター、そしてボスとレイブン以外は。
キャラを大事に、と決めた昼の雀荘は若い世代が多く集まると錯覚する。
「また屋上じゃない?好きだもん。」
「なら、椅子が必要ね。誰か運びなさい。」
「それじゃあ俺が。」
マスターの補助をする役目だがロクに仕事をしない、公達と呼ばれる男が見るからに上質の椅子を持ち、2人は屋上へ向かった。
「…なぁ、一体なんねぇ?今日のまとまりすぎたメンツは。」
「ボスに麻雀を教えたのはリャオ総帥。これで解るでしょ。」
「納得。ポーカーにルーレットも置いたら完璧カジノだがね。」
あけぼのも楽しそうにしているが、体がうずうずしてしまう。頭よりも、体が先に動くのだから。
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