赤2人と理系 | ナノ
小学生と大人?
氷帝が到着し、ぞろぞろと降りてくる中。
一際異彩を放つ少女がふらふらと歩いていた。完全に乗り物酔いで顔に血の気が無い。
「あ、やっぱり来た。」
相変わらず見た目怖いな、と笑いながら幸村は言うが目が笑っていない。隙あらば香奈は研究に突っ走る暴走しかけの機関車扱いなのだ。
「ひっ、満ちゃん…あの子、誰です?」
「鈴先輩…信濃さんですよ?髪を結んで、顔色が良ければ一致します。お会いしたでしょう?」
髪型、顔色、服装でかなり様変わりするのだから常日頃が偲ばれる。
鈴もかなり小柄だが、香奈はそれ以上に華奢と言えば聞こえはいいが、病的に細い。
「遅かったな、跡部。」
「香奈の馬鹿でかい荷物運びに手間取った。検査器具まで入れてやがる。」
吐き捨てるような跡部の言い方だが、国の威信を賭けての取引をしていては、さしもの跡部も口出し出来ない。鈴のポジションはそのど真ん中なのだ。
「試作段階で、約20%の随意筋をせいぎ」
「香奈先輩、とりあえず座って大人しくしていて下さい。黙っていて下さい。運びますから。」
ぞろぞろと別の車から、明らかに中学校と関係の無い人々が荷物を黙々と運んでいく。一般的な中学生達は自然鈴を見てしまう。
「…信濃と、何か関わりがあるのか?」
「ありますよ。鈴先輩の怪力は自分で制御出来ない、私よりもたちの悪い力ですから信濃さんに依頼し、そのデータを国防省に渡す条件で成立しました。手塚さんは幸い、叔父に似ていますから鈴先輩に怯えられにくいかと。」
自覚はあったのか。と青学メンバーは内心驚嘆した。満の育ちを甘く見ているのである。
「あ、あの。信濃…博士ですよね。お久しぶりです、浅野鈴です。」
「定期的に〜報告は聞いてるけど〜実感は〜?」
「まだ、何とも…満ちゃんー!やっぱり怖いよ信濃博士ー!」
高く細い声が、ホラー映画を助長させる。元来、顔色は悪いのだから当然ではある。
「…何事も[起こさない]ようにしよう。」
「そうだね。香奈は黙らせられるし、赤城さんは何もしなければ何もしないんだけど…。」
「香奈の研究対象がどんな問題か、だな。」
現時点で解っている事を、互いに交換する必要があり守秘義務を貫かなければならない。
中学生には、かなりの重荷だ。
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